銀魂 短編
□煌めく星と波の音
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「海に…行きたい…」
テレビ画面の奥にある、エメラルドグリーンに輝く南国の海を眺めて、彼女が呟いた。
そうだねェ、と気だるげに返事をした俺の手を、彼女がくい、と引っ張っていく。
「え?」
「海、行こう?」
肩越しに笑った彼女の意図は全く読めなかったが、俺はなんだか拒むことができなくて、彼女の言うとおりに従った。
二人でスクーターに乗って走る。
オレンジ色に染まった街が少しずつ離れていった。
身体に当たる風が冷たい。少し痛いほどだ。
少し前まで青々と茂っていた木々の葉は、赤や黄に色を変え、はらり、はらりと落ちていく。
どうしてこんな時期に海へ?
俺は疑問に思ったが、背中にしがみつく彼女が、子供みたいにワクワクした様子で笑うものだから、今さら引き返そうとも思わなかった。
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