銀魂 連載
□銀色デート
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「え、俺と?」
「はい。嫌なら別にいいですけど」
その時は唐突にやって来た。
いつもと変わらない朝、いつもと変わらない風景。
違ったのは、珍しく客がやってきて、その客が、俺の好きな人だったということだ。
呆然とする俺を見て、彼女は手に持った二枚の紙切れを懐にしまった。
「じゃあ、他をあたります」
「だぁぁぁあ!ちょっと待て!行く!マジで超行きたいから!お願いだから待って和葉ちゃあん!」
俺は彼女の腕を思いきり掴んで、必死の形相で引き止めた。
こんなチャンス、逃してたまるものか。
「じゃあ、行きましょう」
ふわりと笑いかけられて、これはついに俺にも春がやってきたのでは?と浮き足立つ。
辺りはすっかり秋だけれど、俺はまだ枯れてない!!
一人で階段を降りていく彼女は、こちらを振り返り、「早く、行きますよ」と言い俺に向かって手招きをする。
その姿が愛しすぎて、俺の顔は緩みまくりだ。
「俺、今日死ぬかも」
こんな幸運あっていいのか。
逆に不気味だが、そこな素直になるべきだろう。
こうして、俺と和葉のデート(俺はそう思っている)が始まったのだ。
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