銀魂 連載


□慰安旅行
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「はぁ?慰安旅行?」

とある日、世間は夏休みが終わった頃、またも近藤が唐突に言い出したことに、土方は眉をひそめた。

近藤は決心に満ちた顔で、不満げな様子の土方に言う。

「そうだ。みんなで温泉に行くことになった」

「行くことになったって…また将軍のお守り旅行だろ。オレはお断りだぜ」

「いや、今回ばかりは真選組メインの旅行だ。とっつぁんにも許可はもらっている」

「嘘をつくんじゃねぇよ。あのオッサンがそんなこと許可するわけねぇだろ。また江戸をがら空きにするつもりか」

ついこの間海水浴に行ったばかりだというのに、どれだけ浮かれたら気が済むのだ。

警察ということを忘れているのではないか、と土方はただでさえ不安でいっぱいだったのに。

そこからさらに旅行だなんて、許されるはずがない。

のだが――

「あ!和葉ちゃん、おつかれさま」

さりげなく局長室に入ってきた和葉は、どや顔でこちらにやってくるなり、こう言った。

「ま、私にかかれば警察庁長官だろうが何だろうがイチコロですよ」

「竜崎、お前…」

「さすが和葉ちゃん。いやぁ、とっつぁんは可愛い子には弱いからなぁ。グッジョブだ!」

満面の笑みを浮かべる近藤に、無表情で親指を突き立てる和葉を見て、土方は苦々しく呟いた。

「…転職でもすっかな…」

吐き出された紫煙が、虚しく空気に溶けていった。

――世の中、終わってやがる。



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