銀魂 連載
□クール・サマー
1ページ/5ページ
その日の夜は、いつもより冷たい空気に包まれていた。
タスケテ……タスケテ……
「う…うぅ…」
低く震えたその声は、聞き覚えのない女のものだった。
不気味で、背筋が凍りつくようなその声が、暗闇の中でそっと響いている。
タスケテクレナイト……コロス……
その声は次第に大きくなり、何者かが近づいてくるような気配にまたゾッとする。
カリ、カリ……と壁を引っかくようなその音は、非常に不快だ。
コロス…コロシテシマウゾォ!
「っ!!」
勢いよく布団を押しのけ、目を開けた。
真っ暗な部屋はシンとしていて、時計が時を刻む音だけが、妙に大きく聞こえた。
「は…はぁ…夢か…」
頬を伝う汗を拭いながら、乱れた呼吸を整えた。
時計の針は午前2時50分を差している。
まだ日も昇らない微妙な時間に、悪夢にうなされて起きるだなんて…
すっかり目が冴えてしまった。
真選組へ戻ってきて安心したのも束の間、まさかこんな悪夢に安眠妨害されようとは。
この後はどうにも眠る気にはならなくて、布団の上で横になりながら、ただただぼうっと時が流れるのを待った。
.