銀魂 連載


□つながり
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目を開けると、やはりそこは病院だった。

鼻をくすぐる消毒薬のにおいは、嫌いだ…

だがどうやら、また死なずに済んだみたいだ。

「ずいぶんひどくやられましたね」

声がして隣に目をやると、イスに座る佐々木さんの姿があった。

私は痛む腹を押さえて、上半身を起こした。

「なぜ…見廻組があそこに…」

「たまたまですよ。和葉さんのおかげです」

「…たまたまのわりには、ずいぶんと隊が揃ったものですね」

私は皮肉混じりにそう言った。

「それにしても、珍しいですね。和葉さんがここまでやられるとは」

「真選組に入ってから、弱くなったんじゃない?」

佐々木さんに続いてどこからか声がした。

病室の入り口に立っていた人物が、ドーナツのイラストが描かれた小さな箱を持って入ってくる。

「信女…」

「久しぶりね。和葉」

淡々とした声で信女は言うと、手に持っていた箱をベッドの横にある棚の上に置いた。

「わざわざ見舞いにくるなんて、二人ともどういう風の吹き回しですか」

「相変わらず素直じゃないですね。私たちは、ただ心配で様子を見に来ただけですよ」

佐々木は言うと、信女を連れて病室を出て行った。

その後ろ姿を一瞥して、私は再びベッドに横になる。

「和葉さん」

二人と入れ違いに入って来たのは、沖田くんだった。

ややあって、近藤さんと土方さんも入ってくる。

「大丈夫か?和葉ちゃん」

「はい、おかげさまで、こうして死なずに済みました」

誰よりも心配してくれる近藤さんを安心させようと、私はニコリと笑いかけた。

近藤さんは、ホッとしたように肩を下ろした。

「和葉ちゃん、一つ聞きたいことがあるんだ」

近藤さんは、改まってそう言う。

私は、彼が何を言おうとしているのかが分かった。

私が先に口を開く。

「話します。私が、真選組に来た理由…」

「!」

「みんな、知りたがっていたようなので」

決めた。

彼らのことを信じるって。


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