カカシ 短編


□教えて*
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「ここが、噂の修行部屋…」

上忍の控え室の下にある書物庫、そこの一角の奥に隠された秘密の部屋に、
上忍くの一のルミはゆっくりと足を踏み入れた。

ここに来る者たちの目的はただひとつ。

それは色任務に初めて挑むくの一が、ここで情事の事前演習をするのである。

「やっぱり、避けては通れないのね…」

ルミはため息混じりに呟いた。

美人で性格もよい実力派上忍のルミ。

もちろんモテにモテるのだが、26歳にもなる彼女は今まで全くというほど恋愛経験がない。

あろうことか、自ら望んでこなかったのだった。

しかし、そんな彼女だからこそ、この場で“修行”をしなければならない。

美しい容姿に頭の良いルミは、色任務にはもってこいのくの一だった。

火影直々の“任務”となれば断ることもできない。

仕方なく、この場にいるのだった。

(私にできるのかな…)

不安ばかりが募る。

何せ男性と付き合ったこともないルミである。

誰かに身体を捧げた事もない。

(それに、誰が相手を…)

薄暗い部屋の中で一人静かに考えていると、 何者かの気配を感じた。

だんだんと近づいてくるその気配に、ルミは息をのんだ。

「カカシさん…どうしてここに…」

目の前にいる見慣れた男の姿に、驚きの目を向ける。

ルミが初めて想いを寄せている人物、“はたけカカシ”が確かに自分の前に立っていた。

「綱手樣に頼まれたよ。お前にいろいろ教えてやれって」

「じゃあ…カカシさんが私の相手を…?」

「ま、そゆこと」

カカシはいつもと変わらぬ飄々とした笑みを浮かべた。

「そんなにオレとヤルの嫌?」

難しい顔で黙り込んでいるルミに、カカシはどこか不満げに言った。

「いや…相手がカカシさんだなんて思ってもみなかったから…びっくりしちゃって…」

「本当は専門に教える人がいるんだけどね。なんでかオレが指名されちゃったよ」

「そうなんですか…」

ルミは複雑な心境を隠せなかった。

好きな人と抱き合う…

恋人同士でもないのにそんなことをすれば、今の関係が崩れてしまいそうで怖かった。

(でも…覚悟を決めなきゃ…)

ルミは唇を噛み締めると、カカシを見つめた。

「覚悟できたみたいだな…じゃあ、ヤろうか」

「っ!」

カカシはルミを乱暴にベッドに押し倒した。
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