カカシ 短編


□雨宿り
1ページ/1ページ

ポツリ…

「ん…雨…?」

とある森の中。

ルミは額に水滴があたったのを感じて、空を見上げた。




雨宿り




ポツポツと水滴が落ちてきて、少しずつその量は増えていく。

「これは…嵐だな…」

隣にいるカカシが、空を見上げて呟いた。

任務終わり。
今から里に帰ろうという時だった。

時より吹く強い風が、二人の足を止めようとしてくる。

森中の木々が風に煽られ、激しい雨が地面に打ち付けられていた。

「カカシさん…どうしましょう…」

「こりゃすぐにはおさまりそうにないな…しばらく雨風を防げる場所…もなさそうだね」

カカシはざっと辺りを見渡して顔をしかめた。

「じゃあ、急いで里に帰りましょう。なんだか寒くなってきたし…」

仕方なさそうにルミは言った。

ルミが足を動かそうとしたとき、カカシがその場にしゃがみこんだ。

「?…カカシさん?どうしたんですか?」

ルミはカカシの行動に理解出来ず、ひとまず足を止めた。

「こんな雨に濡れたら、お前風邪引くぞ。ほら、こん中入ってオレの背にいろ」

カカシは羽織っている白いマントをめくって、平然とそう言った。

しかし、その言葉を素直に受け止められるはずはなく…

「え…いやいやいや!大丈夫ですよ!そんな、カカシさんに背負ってもらうだなんて」

ルミは驚いてすぐに遠慮した。

カカシはじっとルミを見つめている。

「いやその…カカシさんに甘えてばかりはいられないですし、本当に平気ですから…!」

「そう言って、いつもオレに甘えないよな。お前」

「はい?」

カカシはいじけたように目をそらして言った。

ルミはカカシ言葉の意味がまたもや分からない。

「お前はオレの後輩なんだから、先輩に甘えてもいいんだぞ」

カカシはニコリと笑って言った。

「でも怪我してるわけじゃないし…ちょっと雨に濡れただけで風邪なんて引きませ…あ!ちょっと!!」

ルミの言葉を遮るように、カカシはヒョイとルミの体を背に乗せた。

「よし、じゃあ帰りますか」

「よくないですー!おろしてください!」

ルミは顔を真っ赤にしていカカシの背でもがいた。

「だーめ」

カカシはルミに構わずそのまま走り出した。

「もぅ…カカシさんたら…」

ルミはついに諦めてカカシの背中に顔をうずめた。

心地よい体温が伝わってくる。

雨に濡れながら走るカカシの横顔は少し色っぽく見えた。

(ま…いっか…)

ルミはその温かさが嬉しかった。
カカシの背中はすごく落ち着ける、安心できる。

ルミはカカシの腕にぎゅっと掴まった。

「オレは…もっとお前に甘えてほしいんだよ…」

ふと、カカシはそう小さく呟いた。

カカシさんの背中は温かくて心地いい。

それに、雨も風も防げちゃう。

とってもステキな雨宿り。

end

目次に戻る

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ