カカシ 短編


□君に花束を
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「これ、お前にプレゼント」

そう言って唐突に差し出されたのは、淡い色をした花の束。

可愛いらしいその花は、ポピーだろう。

「わあっ綺麗…でも、どうしたの?今日何かあった?」

私はそれをそっと受け取ったが、今日という日は、別に特別な日ではないし、何かしたわけでもない。

何故、彼は花束を私にくれたのだろう。

「何も。ただ、なんとなく目に止まったんだ」

「このポピーが?」

「ああ。お前が喜ぶような気がして…つい、な」

そう言ってはにかんだ彼に、私は嬉しくなって花束を見つめた。

なんの変哲もない日に、私のことを想ってわざわざプレゼントしてくれた。

彼の愛情を花束からじわりと感じる。

「ありがとう…すごく嬉しい」

ニコリと微笑んで言えば、彼は良かった、と肩を撫で下ろしていた。

「今日は、ポピーの日だね」

「え?そうなの?」

「フフ、今作った」

「は?作った?」

「そ。カカシがポピーの花束をプレゼントしてくれたから、ポピーの日ー!なんてね」

「なんだ…そういうコトね」

彼は可笑しい、とでも言うように笑った。

そんな彼に、無性に近づきたくて、触れたくなって、私は珍しく自分から彼に甘えるようにして抱きついた。

「ルミ…?」

「ありがとう…カカシ」

「ん、どういたしまして」

彼の胸に顔を埋める私を抱き返し、そして頭をそっと撫でられた。

「じゃあ、お礼してもらおうかな」

「もう…まさか、それが目的だったりしない?」

「ハハ…まさか」

すっと腰にまわされた手は、今日は素直に受け入れることにする。

なんの変哲もないある日のことだけど、彼がいれば一日一日が特別になるんだと、気づかされた。




君に花束を




明日は何の日になるのかな。


end


あはは山様にリクエスト頂きました。
「恋人、同期上忍、日常のイチャイチャ」ということでしたが、ご希望に添えましたでしょうか?
私的にはイチャイチャが足りなかった気がしましたが…
リクエスト、ありがとうございました。

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