銀魂 短編
□痕は印*
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「なんだよ…これ…」
いきなり行為を中断したかと思えば、私の腕の付け根にある小さな赤い痕をまじまじと見つめ、彼は言った。
「あっ……」
「しばらく俺と会わねー間に、ずいぶん楽しんでたみたいだなァ」
「いやっ、違うの!これは…その…」
明らかに不機嫌、かつ完全にお怒りの彼は冷めた目で私を見下ろす。
背筋がぞうっとするようなその視線に、弁解しようにも上手く言葉が出てこない。
誤解だ、と一言言ったところで詳しい事情を話さないことには納得してもらえるわけもない。
だがその事情を話すことが躊躇われた。
「誰に抱かれた?」
「違う…誰にも抱かれてない」
「じゃあこの痕はなんだよ。俺はこんな下手くそなキスマークはつけないぜ」
「へ…下手くそって…」
グサリ、と心になにかが突き刺さるような感覚。
(私の気も知らずに…)
私はぷいっとそっぽを向いて、言った。
「下手くそで悪かったわね。どうせ私は下手くそですよ!」
「は?お前何言って――」
「これは…私がつけたのよ!」
真っ赤な顔で言う私に、彼はポカンと間抜けな顔をした。
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