銀魂 連載


□とある休日
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今日は久しぶりの非番だった。

溜まりに溜まった仕事を、ここ二週間で一気に片付け、ようやく筆を手放せた。

非番とあらば、一日中部屋でのんびりしようと考えていたのだが、このところ仕事ばかりしていたせいか、
何もせずに屯所にいるのはどうにも落ち着かず、とりあえず外に出ることにした。

行くあてもなく、江戸の街をふらりと歩く。

何の気なしにいつもの巡回ルートを行き、見慣れた街を眺めていると、そこで、彼女に会った。

「あれ、土方さんじゃないですか」

俺に気づくなりそう声をかけてきた彼女――竜崎和葉は、俺と同じで黒い隊服を身につけてはいなかった。

丈の短い橙の着物に紺の羽織を着て、足元はいつものブーツではなく草履を履いていた。

そんな私服であるところを見ると、そういえばコイツも非番だったっけな、と思い出す。

「お一人ですか?」

「ああ。生憎、休日を共に過ごす相手なんざいねえからな」

「誰もそこまで聞いてませんけど」

「あ゛?」

「でも、それなら丁度良かった。ちょっと付き合ってくださいよ。どうせ暇なんでしょ?」

そう言うなり、返事も聞かずに俺の背を押した。

文句を言おうと思ったが、その前に俺を睨む白々しいその目を見れば、それすら面倒に感じて口を固く結ぶ。

行くあてもない俺は、ほんの少しの期待を糧に、渋々彼女についていった。

休日に二人で出かけるなんて変な感じがしたが、暇つぶしにはなるだろう。

「オイ、どこに行く気だ?」

「土方さん、映画観たいですよね?」

「は?いや別に――」

「ですよねー、観たいですよねー」

コイツと会話が成り立たないのは日常茶飯事。

困るには困るのだが、今まで総悟にも同じようなことをされてきたので、正直慣れている。

しばらくしてたどり着いたのは、案の定映画館だった。

公開中のアニメ映画のポスターを指差して、彼女は「これを観ましょうか」と言いニコリと笑う。

俺は言われるがままに従った。

どうせ反発したところで、彼女の意志が変わることはないのだから。


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