銀魂 短編
□迷子の浴衣
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「わぁ、綺麗な着物アル!これ姐御のアルか?」
淡い水色に山吹色の小花が散りばめられた浴衣に、神楽は目をキラキラと輝かせた。
志村邸にて、お妙が押入れの中から取り出してきたものだ。
「行きつけの呉服屋さんに、いつも贔屓してもらってるからって、頂いたの。でも、私には少し小さかったみたいで…」
「もったいないアルな。姐御なら絶対似合うのに」
「だから、もし神楽ちゃんが気に入ったなら、あげようかと思って」
「えっ!私にくれるアルか!?」
「ええ。どうかしら?神楽ちゃんに似合うと思うんだけど」
「気に入ったアル!私コレ欲しいネ!」
いつも似たようなチャイナ服ばかりで、着物など一着も持っていない神楽にとっては嬉しいことだった。
しかもこんな綺麗な浴衣を。
妙も貰い手が見つかったようで嬉しそうに笑う。
「良かった。今週末は花火大会もあるし、これを来て銀さんや新ちゃんと一緒に行ったらどう?きっと驚くわよ」
「うん!ありがと!姐御大好きアル!」
神楽は嬉しさのあまりお妙に抱きつく。
心待ちにしていたお祭りが、より一層楽しみになった。
「えへへ」
渡された浴衣を見て頬を染める神楽は、乙女の表情に満ちていた。
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