銀魂 連載
□土方撲滅同盟
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「失敗か。寝てるんで大丈夫かと思いやしたけど」
スプーンを口にくわえたまま、沖田はつまらなさそうにつぶやいた。
隣では、和葉がかき氷を口に含んで言う。
「案外驚かなかったわね」
「土方さんもそろそろ俺の嫌がらせに免疫が付いてきたんでさァ。以前は結構驚いてたんですけどねィ」
沖田も手元に置いてあったかき氷を食べながら、そう言う。
泣く子も黙る鬼の副長、土方十四郎。
以前のゴキブリ騒動で、彼が幽霊嫌いだと知った和葉は、沖田と手を組んでいた。
沖田は副長の座を狙うため、和葉はただ単に面白そうだなと思ったため、夜中にちょっとした意地悪をしてやろう、ということだった。
なんか、幽霊に扮して呪う、みたいな?
『題して、土方撲滅同盟でさァ』
『…撲滅までしなくていいと思うけど』
『甘いですねィ和葉さん。そんな甘い考えじゃ、副長の座はいつになっても回ってきやせんぜ』
『いや、別に副長の座に興味ないんだけど』
『でも、イベント自体は興味あるでしょう?』
沖田のような野望はなかったが、その悪戯な笑みに惹かれてしまった和葉なのだった。
「で、次は何する気?正直、わざわざ計画練ってまでするほどのことじゃないんだけど」
「冷てぇこと言わないでくださいよ。和葉さんだけが唯一の理解者なんですから」
沖田は不満げに顔をしかめながら残りのかき氷を一気に口にかき込んだ。
「頭いてェ…」
「ま、気が向いたら付き合うよ。でも夜に襲うのはやめたら?あなたも土方さんも寝不足になったら、仕事に支障をきたす」
「俺は日中寝てるんで大丈夫でさァ」
「…殴り起こすぞ」
アイマスクをして、縁側に横になろうとした沖田の襟をつかんで止める。
休憩は終わり、と和葉は言うと、沖田にも仕事をするよう目でうながした。
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