銀魂 短編
□バッド・スマイル*
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いつからだろう。
私が、こんなになってしまったのは。
今日もいつものように激しいセックスだった。
彼はすごく意地悪で、腕を縛って拘束したり、ふざけた赤いアイマスクで私の視界を遮ったり、そうして情事に至ることで、嫌がる私を見て楽しんでいる。
彼が、俗にいうドSという性癖である以上、それは避けられないことなのかもしれない。
では、そこに愛はあるのか?
と自分に問えば、私は首を傾げることになるだろう。
「ふっ…あぁっ…もっと…」
だが私もかなりの悪趣味で、こんな酷いなりでも快感に溺れてしまうのだ。
痛みさえも快感にしか思えないあたり、完全に調教されてしまったんだな、と思う。
それでも、いい。
私は、彼の真っ黒な笑みに引き込まれてしまったのだから。
「咲夜、てめぇはホントに淫乱だなァ」
「あ…あなたがそうしたの…あぁっ…んぁっ」
「何俺のせいにしてんでィ、元々だろ」
「あっ…もっ…だめぇ…」
彼の背にしがみつき、爪を立てる。
私を蔑みながら彼はいつものようにニヤリと口角をあげた。
そして、腰の律動は緩まることはなく、容赦なく私に刺激を与える。
もう、イク―――
そう思っていたのに、とたんに彼は動きをピタリと止めた。
イきたいのにイけない状況が、なんとももどかしい。
私が目で続きを促すと、彼は冷たい目をしてこちらを見下ろす。
「イきてェか?」
こくりと頷く。
彼が次に何を言うかなんて私には丸解りだ。
「イきてぇならちゃんと口で頼め」
ほら、ね。
いつもそう。彼は私にお願いをさせる。
すごく恥ずかしいけれど、私は欲望に負けていつも口を開くんだ。
「イかせて…総悟の…ほしい…」
「20点。まぁいいや、俺ァ今日は余裕ないんでィ」
「ひゃ、あぁっ!あっ」
「イイ声で哭けよ…」
「んぁあっ!あぁっ!」
ズシリと奥まで彼につかれ、低く囁かれれば、私はすぐに高い声を上げて果てた。
彼は熱い欲を私の腹に垂らしながら、ハァハァと余裕がなさそうに息を整えている。
うっすらと汗が滲んでいて、私に覆い被さる彼は、すごく色気があった。
「風呂、入ろうぜィ」
私の上から退いて、彼はそう言って立ち上がった。
彼から差し出された手を掴めば、グイッと身体を持ち上げられ抱き寄せられる。
そして私の頭に彼は手をそっと這わせた。
こんなドSで鬼畜な彼だけど、情事の後はいつも決まって優しく頭を撫でてくれる。
きっと、本当はすごく優しい人なんだろうと、私は思う。
好きな子ほど苛めたくなる。
いつか彼が言っていた。
彼は優しいけれど、不器用なんだろう。
だから彼による苛めは、不器用なりの愛情表現なのかもしれない。
「咲夜…好きだぜィ…」
ボソリと呟く彼の顔は真っ赤に染まっていて、私はついクスリと笑ってしまった。
不機嫌そうに眉をひそめる彼を見上げ、私も呟いてみる。
「私もよ…私も、好き」
言うと、さっきとは違う優しい表情(かお)をして、彼はまた私の頭をガシガシと撫でるのだった。
バッド・スマイル
end
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なんかワケわかんないですね。
失礼致しました(謝)