銀魂 連載


□昼休み
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降り注ぐ光は、程よく温かい。

身体がじわりと温まって、そのまま目を閉じれば、すぐに夢の中へ行ってしまいそうだ。

「ふぁ〜あ…」

ほら、これで五回目のあくび。

なんとも気持ちがいい…

「眠たくなってきましたねぇ…」

「そうだね…」

隣にいるのは沖田くんだ。

彼は土方さんには意地悪ばかりしているが、私にはいろいろと親切に接してくれる。

真選組へ来て二週間、いろいろなことを教えてくれて、すごく助かっている。

「そういえば、和葉さんは俺より年上ですよね?いくつなんですかィ?」

「あれ、言ってなかったっけ」

そういえば、年齢はまだ局長しか知らないんだった。

「ちょうど、二十歳」

「へぇ…あんまり変わらないですね」

沖田くんは横目で私を見て言った。

沖田くんは、18歳だっけ?

でも、この間、私の歓迎会でお酒飲んでた気がするけど…まぁ、いいか。

「敬語なんて使わなくていいのに」

「いや、なんか、使いたくなっちゃうんで」

「…なにそれ」

沖田くんは変わっている。

それに、意地悪なことが好きだ。

特に、土方さんをよくいじめている。

「私には、意地悪しないのね」

「してほしいんですか?」

彼は赤い愛用のアイマスクを外して、ニヤリと笑った。

別にしてほしいわけじゃない。

ただ、「興味がある」と言ってくれたわりに、何も仕掛けてこないのが不思議だったから。

まぁ、そういう性癖ではないから、たとえ意地悪を仕掛けてきたとしても、対してなんとも思わないだろう。

「気を抜いてられるのも今のうちでさァ。後々、たっぷり調教してやりますよ」

「…変態」

私の頬に手をやって顔を近づけてきたので、そうばっさり言ってやったが、しかし彼はどこか余裕の表情でいる。

確かに、気を抜いていられるのは今のうちだけかもしれない。

「剣の勝負ならいつでも仕掛けてきなよ。真選組で一番強いんでしょ?」

私は立ち上がって、大きく伸びをしながら言った。

「SMプレイには、付き合う気はないけどね」

「そりゃ、残念だ」

彼はまたアイマスクをし直すと、腕を組んで眠り始めた。

私はそのまま、立ち去ろうとした。

「和葉さん、もう行くんですかィ?」

「ええ。まだお昼寝するつもり?」

「和葉さんの隣は、なかなか居心地が良かったんですけどね」

沖田くんはそう言う。

私の隣が居心地が良い、とはどういうことなのか。

なんとも不思議な人だ。

何を考えているのか分からない、末恐ろしい少年。

さて、土方さんの罵声も聞こえてきたことだし、私は仕事に戻ろう。



つづく

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