カカシ 短編


□キミガスキT
1ページ/1ページ

オレの隣で、泣いている人がいる。

彼女は膝を抱え、顔をうずめて泣いている。

オレはただ、彼女の隣に座って、彼女の背を優しく擦る。

すると、彼女がふと顔を上げた。

「どうしたら、もっと強くなれますか…?」

顔も目も真っ赤に染めて、涙が伝った跡の残る顔で、彼女は弱々しく言った。

「自分を信じる。もっと自信を持て」

「………」

「おまえは実力もあるし頭もキレる。忍としては十分なんだ」

「でも…私があの時もっと早くに駆けつければ…彼らは助かったかもしれないのに…」

「誰だって、失敗はする。完璧を求めるな」

オレは少し厳しく言いながら、それでも彼女を慰めた。

止まらない涙を、オレの指がせき止める。

「もう泣くな。せっかくの綺麗な瞳が台無しでしょ」

「え…?」

オレは元気付けようと微笑んで言った。

「ルミってさ、綺麗な瞳してるよね」

「なんですか…急に…」

彼女はおかしくなったのか、少しだけ笑みを浮かべた。

そんな彼女をじっと見つめる。

「いや、綺麗だなって、思ってさ」

「今、そんなこと思ったんですか?」

「いや、いつもだよ」

オレは彼女の澄んだ瞳を見つめた。

「ありがとう…」

すると彼女はようやく笑みを浮かべてくれた。

潤んだ瞳はキラキラと輝いていて、オレはつい見とれた。

オレはいつだってキミのことがスキだ。

けれど、泣き顔はスキじゃない。

たとえ瞳の美しさが増したとしても、キミが悲しんでいる顔は、美しくはないから。

笑顔に満ちた、キミが、キミの瞳が、

オレはスキ。



キミガスキ




end

目次に戻る

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ