カカシ 短編
□ナルトの作戦
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ドサッ!!
「いったぁー…」
「もうっなにやってんのよ!ごめんなさいカカシ先生……先生?」
サクラちゃんにつられて見ると、ルミのねーちゃんに覆い被さるカカシ先生…
「あれ…出来ちゃったってばよ」
狙い通り…というかたまたまかもしれないけど、しっかりと二人の唇は重なっていた。
マスク越しだけど。
ルミのねーちゃんは驚いたように目を見開いて、カカシ先生を見つめてた。
カカシ先生はゆっくり離れて、ねーちゃんを見下ろした。
「あ…えっと…」
「これ狙ってたんでしょ?ナルト」
動揺を隠し切れないオレたちに、カカシ先生がニコリと微笑んで、そう言った。
ルミのねーちゃんはまだ状況が理解できてないみたいで、オレとカカシ先生のことを、真っ赤な顔で見つめた。
「先生…気づいて…」
「バレバレ。オレたちのことナメすぎだよ」
カカシ先生は呆れたように言う。
確かに、先生たちは里でも五本の指に入る上忍。下忍のオレたちがそんな二人を尾行だなんて、甘くみすぎていた。
でも、だったらおかしくないか?
「じゃあ、なんで!?気づいてたなら、オレたちのこと避けれただろ?」
オレが言うと、サクラちゃんも同じように思ったのか、うんうん、と頷く。
カカシ先生は、あのいつもの飄々とした雰囲気で、さらりとこう言った。
「いや、おまえたちのかわいい作戦にのるのも、悪くないかなあと思ってね」
「はあ?」
「不自然にも、自然にルミにキスできるでしょ?」
「……………はあ……」
カカシ先生の言うことが、いまいちよく分からなかった。
オレとサクラちゃんは呆然と先生のことを見つめた。
すると、しばらく黙っていたルミのねーちゃんが、やっと立ち上がった。
「あの…どういうことか説明してもらっていいですか?」
恥じらっているのか、目を反らしながら小さく言った。
オレたちは、その答えをカカシ先生に求めた。
「う〜ん…おまえって本当に恋愛に疎いね」
カカシ先生は半ば呆れながら言うと、ルミのねーちゃんに向かって続けた。
「オレは好きでもない子とキスしたりなんかしないよ。たとえ、マスク越しだったとしてもね」
「え?」
カカシ先生以外の全員が、その言葉に顔を強ばらせた。
今、カカシ先生てば、すごいこと言ったような…
「あ、今のでも分かんない?…まさか、ね?」
返事もなく固まっているねーちゃんに、カカシは困ったように苦笑を向けた。
「…分かります…分かりました。ようやく…」
ルミのねーちゃんはさらに小さく言うと、俯いた。
なんだか気まずい空気が流れて、本当はもっと見たかったけど、サクラちゃんに連れられて逃げるようにその場を去った。
あの後、二人がどうなったのか、オレは数日間知ることが出来なかった。