カカシ 短編
□ワンダフルデイズ
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この話はニャンダフルライフの続編です。
鏡を見て、ため息をつく。
そこに映るのは、毛並みのよい一匹の犬。
自分の姿が…こんな姿になろうとは…
なぜか犬の姿と化したカカシは小さな肩を落とす。
あたりを見渡せば、いろいろなモノが大きく見えて、くらくらする。
女性らしい部屋の香りに慣れず落ち着かない。
何せ鼻がよく効くのだ。
「カカシさん、お風呂どうします?」
台所からひょっこりと顔を出して、ルミはカカシに尋ねた。
「うーん…まだいいや」
ベッドの片隅に腰かけて、カカシは気だるそうに返事をした。
その覇気のない目線の先では、後輩のくの一のルミがせっせと家事をこなしている。
「じゃあ、先に夕飯にしますね」
「ああ…」
苦笑いをこぼして、ルミはまた台所の奥へ入っていった。
「なんでこんなことになったんだっけ?」
フワフワの白い毛に包まれた身体に呆れながら、本来の姿にはあるはずのない尻尾を振ってみる。
鏡に映った白い犬を見つめながら、カカシはため息まじりに言った。
「えっと…それは…私のせい…ですよね?」
ルミが、茄子を手に持って恐る恐るカカシに答えた。
「やっぱり…怒ってまっ」
「怒ってないよ」
カカシに言葉を遮られて、びくりと反応した。
「いやいや…怒ってるでしょ?」
「だから、もういいってば」
「…すみません」
ルミはしゅんとなってまた台所へ行った。
はじまりは、つい一時間前のことだった。