□わがままオネガイ
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TOY様よりお借りしました

●わがままオネガイ10題
※本編主人公but本編とは無関係


01:好きって言って!×菊雄

「早く。」
「……。」
「なに?キライなの?」
「そんなことないです!……ただ、心の準備をさせてほしいだけです。」
「準備しなきゃ言えないんだ。」
「だって、」

さっきから、だって、とか、けど、ばっかり。
言い訳ばっかする口を自分ので塞いだ。

「オレは好きだよ。」
「っ……!!」
「ほら、早く言ってよ。」

早く、安心させて。


02:ちょっぴりでも動いちゃダメ!×春一

「絶対動かないでよ。」
「はいはい。」

コンビニでアイスでも買おうと出掛けたところ、公園で狼狽えている少年達を見かけた。
どうやらボールが木に引っかかってしまい解決策をあぐねていたようで、手助けしようとした俺達がとった手段は肩車だった。
……菊華が小学生のときにしたことがあるが、今と過去とでは全然違う。ショートパンツから伸びた程よい肉付きのある太股を不可抗力にも目線をずらしただけで見てしまう。
精神統一。こうゆうときこそ、朝稽古に取り入れた座禅が役に立つのだ。心を落ち着かせ、何も考えずに……、

「っと……あれ?」

なかなか取りづらいのか足に力が入り、ぎゅむっと肌がくっつく。こんなエロ……や、理性殴られるシチュエーションなんて滅多に起こるわけなく馬鹿みたいに心臓が鳴っている。

「取れたー!……っわ、!」
「!!!」

頭に衝撃。ゴム製だったのが幸いだった。

「ごめん春一!!大丈夫!?」
「平気だ。」

煩悩しかねぇ自分へのいい制裁になったよ。


03:アレが欲しい、どうしても!×梅樹

猫カフェの帰りにゲーセンに寄ることになった。
菊華と行くと独りのときはほぼ寄らないクレーンゲームをまわるのがお決まりになっている。
今日も例外にもれずそのゾーンへと足を踏み入れた。

「…………。」
「どうした?」

立ち止まる彼女がじっと見る方向へ自分も視線を動かすと、手のひらサイズのぬいぐるみキーホルダーが商品にあった。黒猫、三毛猫、虎猫……様々な猫の種類の。

「欲しいのか?」

こくり、頷く。
自分も生粋の猫好きと自覚しているが、こういったグッズにはあまり興味がない。愛らしいキャラクターに目を奪われる彼女はいつもより幾分子供らしくそういえば年下だったなと思い出した。

「なら、オレ様が取ってやるよ。」
「いいの?」
「任せろって。」

財布を出そうとするのを制して自分のから100円玉を2枚取り出す。チャリンと入れるとでかい音と派手なライトが照り出して起動したのを知らせた。
クレーンゲームは経験は少ないが、ゲーマーな自分には楽勝すぎて迷いなくレバーを動かした。

「ほら。」
「すごい……一気に2個も……。」
「っへ、こんなの朝飯前だ。」
「ありがとう、梅樹くん。」

満面の笑みを見せる彼女に胸がときめく。

「どっちの方が好きだ?」
「え?……んー……強いてならこっちかな……。」
「んじゃもう一つは貰うな。お揃いだ。」
「!うん!」

嬉しそうな彼女と、何につけようか相談しながら別のゾーンへと移動していった。


04:結婚なんて一生しないで!×柚葉

柚葉ちゃんの父親が地方公演に向かい、母親もついていったのでしばらくは彼女一人でお留守番らしい。
見慣れたSPはいるものの、やはり寂しいところがあるらしく両親がいない間、彼女の家でお泊まりすることになった。

「……手伝いたいの?」

シェフも厨房もある家だが、家庭用の台所もあるそこで(柚葉ちゃんにお願いされて)夕飯をつくる。
なんにも触っちゃダメだよと強〜く言いはしたけれど先程から隣でじっと見てくる。

「それあるけど、きいちゃんのお料理するとこ好きだな〜って思って。」
「味は出雲に勝てないよ。」
「味とかそーじゃないの!お料理するきいちゃんって可愛いなって話。」
「そんなの言われたら照れちゃうな。」
「私のお嫁さんになって。」
「柚葉ちゃんが旦那さん?」
「私もお嫁さん。きいちゃんのお嫁さん。」
「それもいいかもね。」
「でしょー?」

そんなやりとりをしながら、どうにか手伝いをさせませんでした。


05:敬語をやめて!×名護弥

「ムリです。」

他愛のない会話に自然と入れてみたお願いに彼女は間髪入れず答えた。
名前で呼ぶのさえ最初はしぶっていた彼女だから予測はしていたけれど。少しは考える時間を持ってくれればいいのに。

「どうして?」
「年上の方に敬語を使うのは当たり前じゃないですか。」

超がつくほどバカ真面目だ。

「でも、君のとこの兄弟子には使ってないよね。」
「それは……だって、家族みたいなものですから。」
「……じゃあ、」

ぐいと腕を引っ張り、自分の胸に収める。
背中に手を回し逃げ場を奪うとのぞき込むように下から見上げてきた。

「オレがキミと家族になったらいいの?」
「……っ……、」

回す腕はそのままに空いた手で彼女の左手をとって薬指に軽く唇をあてがう。
目を見開き耳まで真っ赤にする純真無垢な証拠に自然と笑みがこぼれた。

「キミがもう少し大人になったらまた聞くからね。」

小さく頷く彼女。今度はその唇を奪った。



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