□good sleepx梅樹&松樹
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「眠い…。」
「じゃあ寝ろ。」
「でも寝たらもったいない気がして。」
「何がだ?」

in菅原家。
遊びに来たはいいものの、迫る眠気に勝るものなし。

「昨日何時に寝たんだよ。」
「2時。試験近いから勉強してて……いつのまにか。」
「遅くまで起きてるのは効率悪いぞ。」

分かってるよー、と言いながら、ソファに座る松樹の膝の上に頭を乗せた。

「このまま寝てもいい?」
「かまわん。」
「松……、」

梅樹が何か言いたげだったが、重くなる瞼には逆らえなくて。
そのままゆっくりと瞳を閉じた。

「松、そこ代われ。」
「断る。」
「兄貴の命令だぞ。」
「なら、弟の我が儘だ。」
「ぐぅ……。」

二人の会話が耳を通り抜ける。
聞こえているんだが、頭には入ってこない。

「……本当に寝やがった。全く、無防備すぎんだろ。」

髪をくしゃりと優しく撫でる。
くすぐったくて声を漏らすと、その手は止められた。
結構気持ちよかったからなんだかもったいない。

「それに関しては同感だ。」

梅樹が絡ませた髪を丁寧にほどいていく。
耳に髪をかけ、頬を指でなぞるともどかしい気分。

「他の男の前でもこうだと思うとさ……なんかすんげえむしゃくしゃする。特に紗英だったら。ぶっ飛ばしてえ。」
「兄貴はすぐ暴力に繋がるな。どうにかできないのか?」
「無理。」
「脳内空っぽの証拠だ。」
「んだとお!?」

喧嘩が起こりそうな予感。
本当、この二人は仲が良いんだか悪いんだか。

「ん………。」

わざとに小さく声をあげると、二人は言い合いをやめた。
世話がかかるな。そう思いながら力がだんだん抜けていくのがわかる。

規則正しく息を吐き初めて十数分。
完全に意識は飛んでいった。



誰も欠けず、三人でずっといられる方法なんてあるのだろうか。




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