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□はじめましてx加賀斗
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「今日から國崎屋の養子になる皇加賀斗くんだ。」
「よろしく。」
「………よろしく。」
それが、ボクと菊華の最初の会話。
「ごめんな。普段はもっと明るいんだけど……兄と別れてからずっとこの調子なんだ。」
八雲さんが申し訳なさそうにボクに言った。
「兄……?」
「ちょっと色々あってこの前から別々に暮らしているんだよ。」
リビングのソファの上で丸まっている菊華は、漫画のような落ち込み方をしている。
「菊華……ちゃん。」
「何。」
「えっと……。」
名前を読んでみたものはいいが、何と声をかければよいのか分からずたじろいでしまった。
そんなボクの姿を見て彼女は申し訳なさそうに笑う。
「菊華。」
「え?」
「“菊華”って呼んで欲しい。ちゃんはいらない。」
「菊華……?」
恐る恐るそう呼ぶと満足そうに笑って頷く。
それがなんだか無性に嬉しくてつい頬を緩めた。
「カメラ用意してくる。」
「師匠、ダメですよ。」
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