□はじめましてx松樹
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「なあ、國崎。」

そんな日が続いたある日の放課後、帰ろうと下駄箱に向かっている途中クラスの男子生徒と國崎を発見した。

國崎とあったらまた絡まれる。

柱の影に身を隠しあいつらが去るのを待つ。

「お前、菅原と仲いいのか?」

俺の名前が出たことに、何故か違和感がなかった。

「ううん。仲を深めてる最中。」

一向に深まっていないがな。

「あいつさ、すっげえぶっきらぼうっつうかノリ悪くね?よく仲良くしようと思うな。」

別にお前たちと仲良くなろうとは思っていない。
くだらない質問に呆れのため息をつき、一旦その場を離れようとした。

「そうかな?ノリ悪いとは思わないけど。」

ぴくりと糸で引っ張られたような感覚。
何を言っている?俺の気持ちを代弁したのは男子生徒。

「お前マジで言ってんの?」
「だって、なんだかんだ言って私の話に付き合ってくれるし、質問には全部答えてくれて優しいよ?」

……あいつの思考回路はどうなっているんだ。
優しい?俺が?
どこをどうみてそうなった。

二人分の足音が小さくなっていく。
残された俺は帰る気が失ってしまい、そのまま立ち尽くした。

「菊華……か。」

明日、あいつをそう呼ぼう。
なんとなく、本当になんとなくそう思った。



おまけ。

「聞いてたの?」
「違う。聞かされていた、だ。」
「聞き耳立てるなんて趣味悪いよ。」
「相変わらず人の話を聞かないな。」
「ほめんっへ。ひはいはらはなひへ。(ごめんって。痛いから離して。)」



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