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□secretX松樹
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「ごめんね、付き合ってくれ…………寝てる。」
日誌をつけ終え、顔をあげるとぴくりともしない松樹。座ったまま寝るなんて器用だな。
「起きろー。」
小さく呼びかけたがなんの反応も示さない。
……昨日まで舞台の日々だったから仕方ないか。
今日くらい休めばよかったのに。朝にそれをいうと、お前に会いたかったから。なんて真顔でいうものだから思い出すだけで顔から火が出そうだ。
「……ねえ。」
もう一度呼びかけても返事はない。
深い眠りみたいだ。
ちょっとくらい、大丈夫だよね。
机に上半身を乗り出すと見慣れない高さ。
起きませんように。
願いながら、彼の額に唇を落とした。
カタ、
廊下の方から不自然な物音。
急いで視線を移すと一人の女子生徒。……しかも同じクラスの。
どうしよう。どうすれば正解なんだ?
いくらでも言い訳は思いつくはずなのに焦った私は、固まって動けない彼女へ“内緒”のポーズをしてしまった。
自分からばらしてるようなものだ。
頷いた彼女は忙しなくその場を去っていく。
ここの教室に用事があったのかな。だったら悪いことをしてしまった。
「はぁ……。」
明日あの子に何言おう。
その前に松樹に相談?
あー……どっちもやだなー……。
なお起きない松樹の頭を叩いた。
終
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