TOV小説
□あまくてあまくて、やっぱり甘い
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先ほどから漂う、なんともいえない甘い匂いに俺はうんざりしていた。というのも、それは自分の行動が原因なのだが。
いつものごとく、甘いもの好きな青年に
「おっさん、クレープ作ってくれ」
なんて言われてしまった。最初は嫌だと拒んだのだが、
「だっておっさんの作るクレープが一番美味いんだ。それが恋人の作ったもんだったらなおさらだろ?」
…なんて言われてしまったら作らないわけにはいかない。
「恋人の作ったものならなおさら、か…」
そう言ってもらえるのは確かに嬉しい。だがしかし自分の甘いもの嫌いは直らない。
「ここだけは絶対相容れないのよねぇ…」
そんなひとり言をぶつくさ言いながらも、クレープを作る手は休めない。