皇国

□初対面
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初めてニンブスと出会った時、私は人として掛け離れた彼にどこか惹かれていった。



「……。」

「ニンブス様…。」



偶然クリスタルの前を通ると、機械の中で制御されたクリスタルをずっと眺めているニンブスがいた。



「ニンブス様。」

「……。」



私に気付いたニンブスは一瞬私を見たが、すぐにクリスタルへと視線をもどした。



「……。」

「………。」



口数も少ない彼に何を聞いていいのか分からない。
それ以前に返答が返ってくる気がしない。



「……。」

「……。」



お互い無言のままが続いた。
特に用もないのにニンブスの所へ行った結果がこれだ。



(何か言った方がいいのかな…。)

「……。」



しかし彼のことだからきっと「語ることの葉はない。」とか言われるのだろう。



「ハァ…。」

「……。」



私は落ちつかないままクリスタルとニンブスを見た。



「あの……。」

「……。」



小さな声でそう呼ぶが特に反応はない。
だいたいルシと何について話せばいいのかすら分からない。



「ニンブス様は…いつもここに居られるんですか?」

「……。」



それから話しを続けようと試みるが全て駄目だった。


(…表情は分かんないし口数も少ないんじゃどうすることも出来ないよ。)

「……。」

「私はこれで失礼します。」

「……。」



私は仕事に戻ることにした。
こっちを向かないニンブスにお辞儀をし、出口へ向かう。



「…女。」

「はい?!」



突然の声に一瞬驚き、声の主がニンブスだということに更に驚いた。



「……。」



しかしニンブスはそれ以上の言葉を言ってはくれなかった。



「あ!私の名前は……。」



言おうと思って瞬間ニンブスは消えてしまった。



(……名前言いそびれちゃったな…また会ったら言おう。)



根拠はないが、何故かまた彼に会える気がした。






















次はもっと話しましょ?
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