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□第三章
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ウォルバ

思わぬ来客に“あの時”を思い出し、恐怖がこみ上げてきたが、そんな暇はない。今はあいつは置いといて、こちらが最優先事項だ

「先手必勝! 天より落ちる神々の怒り 我の妨げとなるものを焼き焦がせ! トール・サンダー!」

見事タイラントに直撃したが、のそのそと起き上がった。

「嘘!?完全詠唱したのに?」

衝撃でミールは言葉を漏らした。確かにそうだ、ミールの魔力ならば、倒すまではいかないだろうが、いくらかダメージを与えられてもおかしくないはずだ。・・・たぶん、あいつの魔法だろう。魔法による攻撃は威力が半減されてしまう。そいつはニヤニヤしながら、こちらを見ていて腹が立ってくる。

 俺はタイラントの懐へ潜り込もうとするが、奴の放つ棍棒の薙ぎ払いによって、うかつに近づくこともできない

「・・・静かに吹く風は 我等に纏いし風 その輝きし風は俊敏さを与える 風の鎧達(ストームメイルズ)」

詠唱が聞こえたかと思うと、俺達の体の周りを、風の鎧が包み込んだ。この魔力と声はおそらくミールであろう。体が軽く感じ、スピードも上がっているようだ
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