リヴァイ長編
□memory
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実践演習は、並以上ではあった。
立体機動の使い方。空間把握能力。柄型機の使い方。
初めは使い物にならないとは思ったが、細かな動きを見、感じ、そして十二分にそれを活かすだけのだけの頭もあった。
だが、まだ足りない。
「おせぇ!!やる気あんのか!!」
息を切らせたあいつが眉をひそめて俺を見る。
何か文句の一言でも言って来るのかと思いきや切らせていた息を整え、強い目で俺を見て「申し訳ありません!」と一言いい頭を下げる。
そして次には修正する。
偶然かと思いきや、あいつは理解し、そして実行する。
新兵にしては十分な能力を持っているし、恐らく実践に投入してもいい結果を残せるだろう。
だが、それでは駄目だ。
それでは死なせてしまう。
言葉、態度、表情。
俺は全てを鬼にする。
甘やかしてはいけない。
だが俺の態度にエルドに加減してやってくれと言われた。
今まであいつほどきつく言ってきた兵士はいない。俺の言葉遣いだの態度だのは兵団にいる兵士たちは知っている。
エルドも俺の下についてもう2年になる。俺にまともに意見するのはエルドとエルヴィンぐらいだ。
エルドもそれを知っているから俺に意見したのだろうが俺は態度を改めるつもりはなかった。
俺はあいつが嫌いだった。
成績優秀で、でもそれをひけらかす訳でもない。
肝も据わっていて、飲み込みも早い。
優秀な新兵。
そして、どことなく似ていて。
それは口調だったり、ちょっとした仕草だったり。
エルヴィンが信頼していて、あいつもエルヴィンを信頼していて。
似ていたんだ。
それが、とても気に入らなかった。