リヴァイ長編

□memory
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ある日の実践演習の時だった。
あいつへの態度なんかは、他の班の奴も知っている。もちろんエルヴィンも。



だが、エルヴィンは俺に何も言わない。




キース団長も、俺に何も言わなかった。
2人は間違った事をしている時は指摘している。それはどんな立場の奴にでもだ。

その2人が何も言わないからか。
俺に意見できていたエルドが駄目だったからか、他のやつも何も言わなかった。




肝心のあいつも、俺の言う事には従うし。
罵倒し倒そうが、涙の1つも見せなかった。
友人に愚痴をこぼしている所も見た事がない。
(どちらかと言えば、あいつに同情した奴等が俺への不満を言っていたのは聞いたことがある程度だ)











実践演習が終わり、戻ろうとした時に木の枝に何かが光って見えた。
何を思うわけでもなく、その光ったものを探すと木の枝にソレは引っかかっていた。







「なんだ、これ」







シルバーの太目のチェーンにぶら下がっている輪の欠片。
リングのようにも見えるが、途切れている部分が凹凸状になっていていまいち元の形がわからない。








「リヴァイ班長?どうしたんですか?」
「あぁ、なんでもない」









その場はポケットにいれ支部に戻った。
その後、エルヴィンに報告を受けて会議資料を読むが、全くと言っていいほど頭に入ってこない。






あのアクセサリーのようなものはなんだろうか。



ずっとソレばかり頭の中をぐるぐると回る。
どこかで見たことがある気がしたんだ。
でもそれが何処だったかが思い出せない。








「・・・ァイ」



どこだったか。そんなに前ではなかった気がする。



「・・・ァイ!」



アクセサリーのようにも見える。
誰かがつけていたんだろう。太目のチェーンからして女ではない。


あぁ、そういえばココ最近女の一人も抱いてねェな。






「リヴァイ!!」
「っ、んだよ・・・」



会議の報告書を片手にエルヴィンのアップが目に飛び込んできた。
思わず背をそらせてエルヴィンを遠ざける。


「話、聞いていたか?」




全く聞いてなかった・・・。




「・・・悪い、考え事をしていた・・・」







少し目線を落として謝罪する。
エルヴィンに嘘をついても仕方がないし、なにより口に関して言い負かせたためしがない。



小さく息を吐いて、イスに腰掛けた。






「・・・どうした、らしくないな?」
「悪い・・・」







ポケットのアクセサリーのようなものが気になって話を聞いてなかった。
とはいえずに、なんと言うか悩んだ。
エルヴィンに聞いてみても、と思ったがやめた。



新兵が入って忙しい。
もし聞いて、知らないと答えたらエルヴィンの性格上仕事をしながらででも持ち主を探したり、解決しようとあちこちに手を回すかもしれない。


もうすぐ行われる外壁調査の事もある。



うだうだと考えていると軽く頭に手を載せられる。




「おい・・・」
「ああ、すまない。」




エルヴィンからすれば俺はまだまだガキで、たまにこう言うことをする。
人前では絶対しないが・・・。






あぁ、そういえば人前でも平気で俺をガキ扱いする奴がい・・・・








「あぁ、どっかで見たことあると思ったら・・・」





そうだ、これは。




「エルヴィン、悪い。用事が出来た」
「・・・はぁ、まぁ聞く耳持たずだったしな。それでスッキリするならいって来い。
また明日にでも話をしよう」




そう言って部屋を出る。
行き先は、あいつの部屋だ。
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