TMNT

□恋愛診断
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とはいえ、頭と心は別モンだ。
たかがあんな胡散臭い占いだかなんだろうが傷ついてないっつったら嘘になる。






「ラファエロ、お前何度言ったら分かるんだ!」
「うるせぇ!てめぇにどうこう言われる覚えはねぇ!」





ついでに言うと心と体も別モンだ。
なんだかんだ言いつつアイツへの対抗心はいくつになっても消えねぇし諦めきれるほど大人でもない。




けどそれがあの診断の通りだっていうのが一番ムカつくんだ!




本当はこんなことを言いたいんじゃねぇ。


考えるより先に余計なことを口走るこの口が嫌いだ。
わがままでひねくれ者なこの性格が嫌いだ。


だからあんなくだらねぇモンに振り回されちまう…。



「っ…。」


いっそ素直になっちまえば、こんなもやもやした感じが全部消えるってのか?










けどんなこと…




「…きるわけねぇだろ。」
「え?」
「…もういい、悪かったな。」
「な、おいラファエロ!」



引き止めるレオを振り切って自室へ戻る。
久々に泣きたい気分だ。
ハンモックの上に無造作に置かれた雑誌をぐしゃぐしゃにして床に叩きつけると体中が無駄に力んで目尻が熱くなった。


苦しい苦しい苦しい。


このどうしようもない苦痛を何かにぶつけたかったけど、ぶつけたところでどうにもならないことは分かってる。
というか、そんなことをする前に目の前に落ちている雑誌のようにぐちゃぐちゃになった気持ちをなんとかしたかった。



「…素直になんかなれるかよっ。」



掠れた声が頭に響いた。

こんな弱々しい声が本当に俺の声だってか?

情けねぇ。






「ラフ…?」




しかもこんなときにまだ追いかけてくるのかよ、レオナルド。


「来んじゃねぇ。」
「どうした?泣いてるのか!?」
「泣いてねぇ!入ってくんじゃねぇ!!」
「泣いてるだろ!…オレが言い過ぎたのか?」
「…そうじゃねぇよ。」



レオは何も悪くねぇ。



「じゃあ一体どうしたんだ?」


ふと視界が少し暗くなった。
顔を上げるとレオが心配そうに俺の前に立っている。




あ、今情けねぇ顔見られちまった。


「…さっき、素直になんてなれないって言ってたよな?それを気にしてるのか?」
「…聞いてたのかよっ。」

何が『オレが言い過ぎたのか』だよ。天然もほどほどにしろってんだ。

「別に素直じゃなくたっていいんじゃないか?」
「あ…?」
「だいたい"素直"ってありのままで自然な様子のことを言うんだ、それならお前は十分素直じゃないか。」

レオはそう言って優しい笑みを浮かべて俺の頭をなでた。
あーもう、お前のそういうとこが…。

そう思うと急にさっきまでのことが申し訳なくなった。


「…さっきは、ホント、悪かっ…た…。」


最後の方は自分でも何言ってるのかわかんなくなるほどに声になってなかった。


「あぁ、俺こそ怒鳴ったりしてすまない。けど、俺はそれくらいお前のことが心配で…」


けどやっぱしまだしつこく心配してくるのはムカついて、


「…んな心配いらねぇよ。」


なんてちょっと悪態をついてみりゃあ、


「何言ってるんだ!だいたいお前はいつもいつも、」





いつもの通り長い小言を聞くハメになる。






…そいつはいつになってもうぜぇしなんか上から目線でムカつくけど、

それでもおまえに心配されるってのは、

口で言うほど、

悪くは思ってないんだぜ?






なんて考えてたらついつい笑いが込み上げてきて、


「ちゃんと聞いてるのか?」
「あぁ、聞いてるぜ?」


つまりお前はこんな"意地っ張りなうえわがままで我の強い"俺でも愛想尽かさずに付き合ってくれるんだろ?


ならあんな占い、端っからハズレてんだよ。


「まぁ、全部ってわけでも無かったけどな。」
「何がだ?」
「いや、別に。」


つい漏れてしまった独り言が恥ずかしくて目を逸らしたら、あろうことかコイツはなんか変な勘違いしちまったみてぇだ。


「…まさかまた何かトラブルを起こしたんじゃないだろうな!?」
「は?なんでてめぇはいつもそうなるんだよ!?」


まぁ確かにあの占いはだいたい合ってたぜ?ハズレてるのはよ、


「言っただろう、お前が心配だからだ!」
「ってそんなに俺が信用できねぇかよ!?」


これも俺達の愛情表現だっつーことだな。






fine.
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