SS(本)

□オールメイトと(R18)
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(暇だな…)

ウイルスもトリップもいない部屋。
蒼葉は一人、広いベッドの上で大きく背伸びした。

暇だ、暇だ。とにかく暇だ。
いつも夜遅くまで二人の相手をさせられるので、普段昼間は眠くて二人が帰ってくるまで寝ているのだが、今日は何故だか目が冴えてしまっている。

「どうすっかなー」

欠伸しながら部屋を見渡すと、本にゲームにDVD、色々なものが置いてある。
蒼葉が一人きりの時に退屈しないようにと二人がどんどん買い込んでくるので、続々と増殖している気がする。

「あいつら、してる時以外は俺に甘いよな…」

昨夜も散々酷使された腰を撫でながら、ほぼ毎日何か欲しいものはないかと聞いてくる二人を思い出す。
今蒼葉が手にした枕元にたくさん置いてあるチョコ菓子も、蒼葉が昔二人に好きだと言ったことのある菓子らしい。
二人に言ったことを蒼葉は覚えていなかったが、自慢げに話していたのでそうらしい。
だからと言って何年分だよとツッコミたくなる程箱買いしてこなくてもいいと思うが。

「ん、何?」

ボロボロとこぼしながらチョコ菓子を食べていた蒼葉の元に、ウイルスのオールメイトである蛇が暇を持て余していることを察知したように、足元からしゅるしゅると寄ってくる。
その頭に、器用に何かを乗せて。

「オセロしてーの?」

蛇が持ってきたのは、オセロのボードだった。
小さめのボードを頭から蒼葉の手元に落としたかと思えば、舌をチロチロしながら見つめられる。
瞳が期待にキラキラしているように見えるのは気のせいだろうか。

「お前強すぎだから嫌だ」

ウイルスのオールメイトの黒蛇は、ボードゲームやカードゲームとか頭を使った遊びをするのが好きだった。
最初はびっくりしたものの、舌を器用に使ってゲームの相手をしてくれる。
こういうのが好きな辺り、ウイルスのオールメイトなんだなぁなんて感心してしまう。
だがウイルス同様頭が良過ぎるために勝てたためしがない。
もうちょっと手加減しろよとも思うが、されたらそれはそれで面白くないので仕方ない。

蒼葉の即効の拒否にしゅんと頭を垂れて舌を下げる蛇の隣、大きくてモフモフとした手がぽんぽんと蒼葉を呼ぶようにベッドを叩いた。
ベッド脇に、トリップのオールメイトのライオンもいる。
その口に咥えているものを見て、蒼葉が思わずあんぐりと口を開ける。

「ツイスターゲームって…俺とお前でそれやんの!?」

ウイルスの蛇がオセロを提案してきたように、ライオンが提案してきたのはまさかのツイスターゲームだった。
人間とライオンでツイスターゲーム…どう考えても無謀すぎる。
トリップのライオンはウイルスの蛇とは逆にこうして毎回体を動かす遊びを提案してくるが、毎度無茶なものが多くて出来た試しがない。
でも何だかこの突拍子もない感じがトリップに似てるなぁと思う。
やっぱりオールメイトは持ち主に似るのかもしれない。
しかし今後二人とツイスターゲームをやらされる予感に、蒼葉は額を押さえてはぁっと大きく溜息を吐いた。

「んっ!?や、やめろって!ハハハハハ!」

そんな蒼葉を心配するみたいに、蛇がチロチロと蒼葉の手を、ライオンがベロベロと脚を舐めてくる。
それがくすぐったくてベットの上で笑いながらゴロゴロした後、蒼葉は柔く笑って蛇とライオンの頭を撫でた。

「でも、ありがとな。俺に気ぃ使ってくれて」

これもウイルスとトリップが気を回してくれているんだろうけど、このオールメイト達はこうしてよく蒼葉を気にしてくれる。
最初は監視されているみたいで嫌だったけれど、二匹にもそれぞれ違った性格と自我があるんだと気付いてからはそんなこともなくなった。
そのまま、ベッドに寝転んでぼーっと天井を眺めてみる。そして急に閃いた名案に蒼葉はがばっと起き上がった。

「そうだ!かくれんぼしようぜ!」

いきなりすぎる発言。
ライオンと蛇が舌を出したまま、理解できなさそうに蒼葉を見つめる。

「かくれんぼだよかくれんぼ!わかるよな?」

蒼葉の表情が楽しそうににんまりと緩む。なんて最高の暇つぶしを見つけてしまったんだろうか。
三人で生活するこの部屋は広く、隠れる場所がそれなりにある。
そしてこの前、蒼葉は隠れるのに最高の場所だと思われるところを発見してしまったのだ。
それを確かめてみたい!蒼葉の好奇心が疼いている。
そこに完璧に隠れた自分を必死に探すウイルスとトリップを想像して、蒼葉がニヤニヤと笑んだ。

「俺が今から隠れるから、それ探すんだぞ。できる?」

オールメイトとかくれんぼなんて無理がありすぎるかもしれないが、とにかく今はこの好奇心が止められない。
蒼葉が二匹と目を合わせたまま言い聞かせると、二匹は理解したと言わんばかりに同時に頭を振った。

「よーし!じゃあ目ぇ瞑って20秒な?そしたら俺探せよー?」

二匹が眼を閉じるのを確認してから、蒼葉が意気揚々とその場所へと歩いていく。
音を立てぬように抜き足差し足。
ペタペタペタペタ。

抜き足差し足しているはずなのに、思いっきり足音が聞こえる。
まさかと思って振り返ってみれば、ライオンとその頭に乗った蛇がぴったりと蒼葉のうしろに付いてきていた。
目をぱっちり開けて。

「…おい」

理解したはずであろうに、何故かついてきている二匹。
蒼葉は冷えた瞳で二匹を見つめるが、二匹は微動だにしない。

「かくれんぼって言ったよな?理解してる?お前らは隠れてる俺を探さなきゃダメなの。付いてきちゃダメだろ?」

二匹がまた頷く。
それを確認した蒼葉が再び移動する。
抜き足差し足。
ペタペタペタペタ。
振り向く。
またぴったりとついてきて蒼葉を見つめているニ匹。

「コントか!」

全力で突っ込んだあと、妙にアホらしくなって蒼葉がへなへなとその場に座り込んだ。
折角この場所が完璧な隠れ場所なのに、後から付いてこられたんじゃ何の意味もない。
そんな蒼葉に、すぐライオンがスリスリと腰の辺りに顔を寄せ、蛇がしゅるしゅると脚に絡んでくる。

「ちょ、お前らっ、いてぇしくすぐったいってば!」

ライオンの重たさに体は自然と床に押し倒されて、上半身に移動してきた蛇にチロチロと唇を舐められた。
ライオンの鼻先で、器用にシャツをたくしあげらていく。

「あっ、こら!お前らやめっ…ん!」

ライオンの大きな舌に、臍から胸までをベロリと舐めあげられる。
ザラザラとした強い刺激に、蒼葉の胸先はそれだけでピンと硬く立ち上がった。
その硬くなったものを、蛇の細い舌先で何度もチロチロと舐められる。
たまらぬ快感が走って、蒼葉はビクビクと腰を浮かせた。息が熱く乱れていく。

「はっ、ぁ…それ、だめ、だっつの…あっ!」

快感に緩んでいつの間にかはしたなく広げてしまっていた足の間にライオンが入って、今度は下着の上からベロベロと股間を舐められる。
下着が唾液でびっしょりと濡れてしまうほど、何度も何度も。
舌で押しつぶす様に舐められて、次第に浮かび上がってしまう蒼葉の恥ずかしい形。
それが何だか理解しているオールメイトは、今度はその形を確かめるように丁寧に舐めてくる。
硬くなったさきっぽを舌先で重点的にクニクニと刺激されると、自分ではないような声が漏れる。
完璧に露になってしまった己が恥ずかしいのに、それ以上に気持ちがよくてゆらゆらと腰が揺れてしまう。

「あ…も、やめっ…ん、んんーっ!」

チラチラと果てを感じ始めて快楽に揺らぐ蒼葉の唇を、蛇が丁寧に舐めてくる。
その体でスリスリと乳首を擦りながら。乳首が左右にピンピンと擦れ揺れて、その度に体の芯も揺らされた。
中に入りたそうに唇を舐めている蛇の舌を受け入れるように蒼葉が唇を薄く開くと、すぐに蛇の舌が侵入してくる。
長い舌でたっぷりと口内のいたるところを舐め回されたあと、それは蒼葉の舌に柔く絡みついたかと思えばきゅっと縛りあげた。

「んっ、あっ!」

舌を舌で絡め取られて引っ張りあげられたまま、乳首を擦られて下肢を舐められている。二匹のオールメイトに。
蛇の繊細で執拗な動きと、ライオンの乱雑なのに優しい動き。
拭いきれない涎をこぼして涙目で喘ぎながらも、蒼葉は頭の隅でやっぱりオールメイトは持ち主に似るんだなぁなんて考えていた。
けれどすぐに頭が快楽に支配される。二匹のオールメイトに責められて高みに押し上げられている事実にゾクゾクした。
気持ちよくて仕方なかった。限界がそこに見える。

「ひっ、あああああっ!」

そしてすぐ、濡れた下着の中に蒼葉は快感をぶちまけた。
たまらぬ射精感に息を落ち着かせる間もなく、それを舐めとりたいと、ライオンの厚い舌と蛇の細い舌が蒼葉の下着の中に入り込もうとする。
敏感になっているものを擦られて、蒼葉はまた笑い声を上げて転げまわった。

「ぎゃはははは!だめ!それはだめだって!お前らっ!」

こうして二匹と戯れながらごろごろと一通り床を転がったあと、蒼葉はライオンを枕にして蛇を腹に置いたまま、すやすやと眠りについて暇をつぶしたのだった。


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「はぁ…こんな所にいた、蒼葉さん」
「おー。よくもまぁこんな場所見つけたね、蒼葉」

仕事が終わり上機嫌で帰ってきたものの、部屋に蒼葉の姿はなし。
蒼葉の想像通りウイルスとトリップが必死に探して数分、ライオンのでかい図体を見つけて二人は安堵の息を吐いたのだった。
ライオンがいたからこんなすぐに見つかったものの、蒼葉だけだったら何分かかったかわからない。
本当によくもこんな死角を見つけたものだと思う。

「封鎖だな」
「俺達の気も知らずに可愛い顔して寝ちゃって、蒼葉は」

当然のように二人で蒼葉の寝顔を写真に撮ってから、トリップが蒼葉の頬をぷにぷにと指でつつく。
ウイルスは疲れた溜息を吐いてから蒼葉をじっと見つめた。

「蒼葉さん、随分満足そうな顔してないか?」
「してるね」

自分たちのオールメイトに囲まれて幸せそうな顔で寝こけている蒼葉。
最初はこの構図が可愛いと思っていたが、それが数回目になってくると感情が少し変わってくる。

「最近、コイツらに若干苛立ちを感じる俺は大人げないか?トリップ」
「だいじょぶウイルス。オレもだから」

幸せそうに寝てるだけならまだしも、ぐっしょりと濡れたままの下着と蒼葉を外敵から守るとでも言いたげな感じで蒼葉を包んでいるオールメイト二匹。

それを眺めながら若干顔をひきつらせつつ、それでも二人は可愛い寝顔を静かに眺めながら蒼葉のお目覚めを待つのであった。

おわり

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