SS(本)

□蒼葉をペットにする(R18)
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「俺、やっと気が付いた」

「俺も、お前らのこと…好きなんだって」
「今まで色々ごめんな?」
「これからはさ、ずっと一緒にいよう」
「三人で」

「好きだよ。ウイルス、トリップ」

二人の手を握って蒼葉は笑った。
蒼葉を攫ってから一体どれくらいの時間がが経ったんだろう。
そんなことがよくわからない程の長い時間だった気もする。
二人は初めて、蒼葉の心からの笑顔を見た。
全く近づく気配を見せなかった蒼葉の心を、こんなにも近くに感じる。

日々の調教の賜物により、蒼葉の体は陥落した。
二人の与える刺激に素直に反応する可愛い身体。
けれど、行為の最中に快楽にいくら流されようとも、行為が終われば蒼葉はまた二人に硬く心を閉ざした。
別にそれでも蒼葉を想う気持ちに変わりはないしいいと思っていたのだが、いざこうして心を開かれるとその喜びが予想以上のものと知る。

「蒼葉さん…!」
「蒼葉…っ」

世の中に、こんなに喜ばしくて心が踊ることがあるんだろうか。
ああ、蒼葉を手に入れた時と似ている。
こんなに心が歓喜に満たされる感覚。まさしく、これを至福の時だと言えるのだろう。
普段大きく表情を崩すことのない二人の顔が喜びに破顔した。
こんな顔も出来るものなのかと、互いの顔を見て驚く程に。

「俺達も勿論。大好きですよ、蒼葉さん」
「好きだよ、蒼葉。ずぅっと一緒だ」

左右から強く強く抱きしめてくる二人を、蒼葉はしっかりと受け止めた。
腕も、唇も、心も、二人の何もかも受け入れた。

この、悪夢みたいな現実から逃げ出すために。
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