SS(本)

□トリ×蒼×ウイ(R18)
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「今日はいつもと違うことしたい」

蒼葉を挟んだベッドの上。
真顔で言い放たれたトリップの言葉に、ウイルスは心底呆れた顔をした。

「今日はって、昨日もうしただろ」

二人いっぺんに蒼葉に挿入するという、所謂二輪挿しをトリップが提案してやり遂げたのが昨日。
そして今日もまたその台詞を言うとは、間違っているにも程があると思う。
無茶させたせいで腫れてしまっていた蒼葉の尻を思い出し、ウイルスがまだ寝ている蒼葉の髪を労わる様に撫でた。

「昨日は蒼葉ちょっと苦しそうだったから、今日はいつもより気持ちいいことさせてあげたい」
「気持ちいいこと、ね」

普段だって全力で気持ちいいことをさせているつもりだが、コイツは何を言い出すつもりなのか。
期待ではなくただの興味本位で、ウイルスはトリップの言葉の続きを待った。

「蒼葉もやっぱり男の子だから。たまには突っ込ませてあげるべきじゃね?」
「は?」

そして折角待った言葉は全く理解できなかった。
蒼葉を撫でていた指をピタリと止め、ウイルスがトリップを見る。
明らかにおかしなものを見る目で。

「つー訳で、ウイルスちょっとケツ出してー」
「死ね!」

本当にコイツの提案には碌なことがない。
ウイルスがマジ切れ寸前で即答したが、トリップはむしろその態度に不服そうにして蒼葉を腕の中に抱き寄せた。
蒼葉の瞼がゆっくりと開かれる。

「おはよ、蒼葉」
「んっ」

ちゅっと唇に触れるだけのキスをしただけなのに、甲高い声が鼻から抜けて開いたばかりの蒼葉の瞳に熱が灯る。
そんな蒼葉にトリップは体の疼きを覚えたが、平静を装い蒼葉の耳を甘く噛んだ。
吐息と共に囁く。

「な、たまにはちゃんと使いたいよな蒼葉ー。可愛いこれ」
「はっ…ん」

耳朶をちゅっと吸い上げながら、手の平でゆっくりと腰のラインを撫でて股間に触れる。
トリップがそれを手の中に収めた時には、もう半分勃ち上がってふるふると震えていた。
何度も見ているというのに、やっぱりその蒼葉の姿は扇情的だ。
ウイルスは怒りを一瞬忘れるところだったが、すぐに思い出してトリップを睨み付けた。

「じゃあ例えばだ、もし本当に蒼葉さんを挿入させるとして。何でそれが俺なんだ?提案者のお前がケツ出せばいい話だろ、トリップ」
「いや、絵面的に俺よかウイルスのがよくない?」
「よくない。意味不明だな」
「蒼葉だって、俺よりウイルスに突っ込みたいよな?」
「ん…っ!」

吐息混じりで蒼葉に囁きながら、手の中のまだ柔らかいものをむにゅむにゅと揉み込む。
少しずつ硬くなる芯を確認しながら、トリップは空いている片手で蒼葉の乳首の周りを指先で撫でた。
それだけで、触って欲しいと主張するように蒼葉の乳首がピンと立ち上がる。
トリップの膝をぎゅっと握って、蒼葉はまだ緩やかな快感を堪えている。可愛くてこのまま押し倒したくなる衝動も、堪える。

「そうやって蒼葉さんを無理やり誘導するな」
「無理やりじゃねーって。な、蒼葉ー?」
「んんっ…!」

相変わらず凶器みたいな視線を投げてくるウイルスを尻目に、トリップは充分に勃起した蒼葉の乳首を指の腹で挟んでコリコリと回した。
それを何度も繰り返していれば、蒼葉の下肢の熱はトリップの手の中で完璧な姿になる。
蒼葉乳首弱すぎ、と思ったことをまた吐息で混じりで呟いてやると、じわ、と蒼葉の先端から先走りが滲んだ。

「これ突っ込みたいよな?すげぇ気持ちよくなりたくない?」
「は…っ、あ…きもち、よ…く?」

そう。とトリップが笑った。
蒼葉の乳首をきゅっと摘みあげながら。熱をゆるゆると扱きながら。
二人は知っている。すっかり自分たちに馴染んだ蒼葉が、快感に滅法弱くなってしまったことを。
しかもこんなにとろとろに蕩けた目をしている蒼葉なら尚更だ。

「最高に気持ちいいことしたくない?蒼葉」
「は…っ」

トリップの囁きに体の奥底からゾクゾクしたものが駆け上がってくる。蒼葉は熱くなった息を吐いた。
最高に気持ちいいこと。したい。
頭の中で応えた。
そんな蒼葉の心を読んだみたいに、笑ったままトリップが何かを蒼葉に囁いた。
蒼葉の熱の先端で指をくるくる回して、先走りのぬるぬるした感触を楽しみながら。

「おいトリップ」

しかし業を煮やしたウイルスの声が、鋭い棘を含んで突き刺さってくる。
これ以上ふざけた真似をさせないように、トリップから蒼葉を引き離そうとウイルスの腕が伸ばされた。

「お前そろそろいい加減に……ん?」

けれどその腕を掴んで制止したのは、蒼葉だった。
腕を掴まれた上にすっかり蕩けた瞳にじっと見つめられ、ウイルスが珍しく動揺した表情をする。

「蒼葉さ」
「…したい」
「は?」
「おれ、気持ちいいこと、したいっ…」
「ちょっ、」

困惑するウイルスを横目に、またトリップが蒼葉に囁く。
蒼葉はウイルスを見つめたまま唇を開いた。

「ウイルスの中、いれたい」

ぐ、とウイルスの喉が詰まる。
他の誰でもない蒼葉のおねだりは、大いに効力のあるものだった。
いつもおねだりと称して無理やり言わせることはあったけれど、蒼葉がこんな自主的にしかも期待に満ち溢れた瞳で言ってきたことなどない。
なかなか解ってるじゃないかと、これを指導したであろうトリップを褒めてたりたい気分にさえなる。
しかしこれは現実的に、かなり厳しい決断だ。
重々しい溜息をゆっくりと吐いた後、自分の腕を掴んでいた蒼葉のを指をしっかりと握り直し、ウイルスは正面から蒼葉を見つめた。
二人の視線が重なる。

「本当に、俺にいれたいんですか?」

蒼葉が何の躊躇もなく頷く。

「ウイルスに、俺のいれたい」

トリップに誘導されることなく、蒼葉は言った。
それはウイルスにとって結構に破壊力のある落とし文句だった。
まさか自分のものにした蒼葉からの初めてのお願いが、こんなことになるだなんて夢にも思っていなかったが。最早悪夢に近い。
でもそんな悪夢でさえ、出来ることなら叶えてやりたいだなんて思ってしまう自分はきっとどうかしているのだろう。
ますます蒼葉に狂ってしまったことをこんな形で自覚させられて、ウイルスは一人自嘲気味に笑った。
そしてもう一度溜息を吐いてから、ウイルスは蒼葉にキスをする。

「…蒼葉さんだから、特別ですよ」

本当にそうだ。
蒼葉だから。それ以外に理由なんてない。

「おー。ウイルス漢だねー」
「お前はあとで本当に覚えとけよ…?」

トリップを思い切り殴り倒したい衝動を堪え、ウイルスがベッドサイドに常備してあるローションを手にとる。下着とズボンを下げながら。
蒼葉がそんなに自分に願うのだから仕方ないのだ。仕方ないと思うしかないのだ。
けれどやっぱり、今からしようとしていることを思うと溜息しか出てこなかった。

「自分でやんの?」
「当たり前だろ」
「やってあげる?」
「触ったら殺すぞ」

この場合、解すという行為は自分でやるしかない。
蒼葉にいつもしているから手順はわかるし手馴れているし。(トリップは問題外だし蒼葉にされるのは嫌だし)
そんなことを考えながら掌にボタボタとローションを垂らしていると、二人の視線を強く感じた。

「俺の準備はすぐ終わりますから、それまで二人で遊んでてくれません?」
「ウイルスが自分でやるとこ見てぇってさ、あおば」

それは嘘ではないようで、トリップに抱かれたままの蒼葉がじっと見ている。
まさしく熱視線。
もしかしてこれは普段の仕返しをされてるんじゃないだろうか。そんな考えが頭を過ぎった。
そうだとしても、何でそれが自分だけなのか全く納得いかないけれども。

「なかなか悪趣味ですね、蒼葉さん。…もういいですよ」

ウイルスが開き直ったようにまた溜息を吐いた。
妙に楽しんでいるトリップもいるし、もうこの場はどうにもならないだろう。
別に、見られて恥ずかしいとかそんなしおらしさを持ち合わせているわけでもないし。
ウイルスはが膝立ちの体勢になり、ローションでたっぷり濡らした指を後ろへ回した。

「…っ、」

想像はしていたが、やっぱり異物感が半端ない。
この特注のローションには表面麻酔剤を混ぜてあるので痛みはないが。
いつも蒼葉を解している要領で、ウイルスは手早く指を押し込みそれはすぐに2本に増えた。
そのまま軽く指を回して広げていく。

「萎え萎えじゃん。前触る?」
「当たり前だろ!触った瞬間にぶち殺すからな」
「ウイルスこえー。な、蒼葉ー」

トリップに苛立ちながらも事は要領よく進んでいる。中も結構広がってきたのではないだろうか。
やっぱり異物感は消えないものの痛みはほぼないので、このままなんとか蒼葉を受け入れられると思う。
しかし、このローションがぐちゃぐちゃと大袈裟な音を立てるのはどうにかならないものだろうか。
蒼葉にしている時は興奮を煽るもののひとつだというのに、自分だと嫌悪感が半端ない。
あと、もうひとつどうにかして欲しいものがある。

「あの、蒼葉さん。そんな見つめないでもらえます?」

あれからずっと続いてる蒼葉の熱視線が気になって仕方がない。
見られていることに羞恥は感じないのだが、何だかくすぐったい感じがしてどうにも落ち着かなかった。

「ウイルス、きもちいい?」
「………」

そしてまさかの蒼葉の台詞に、ウイルスは笑顔のまま硬直した。
いいわけねーだろ!とは何故か言えなかった。
やっぱりこれは仕返しなんだろう。ウイルスはそう思うことにした。
その後ろで必死に笑いをこらえているトリップに更に苛立ちを募らせながら。

「ま、こんなもんでいいでしょう」
「さすがウイルス。すげー早いね」
「少しキツいかもしれないですけど、許してくださいね蒼葉さん」

もうどうにかなるだろうと、ウイルスは半ば自棄な感じでそれを打ち切った。
ローションで濡れた指を拭いながら、まだ自分を見つめている蒼葉の唇を吸い上げる。トリップを無視して。
こんなご褒美じゃ割が合わないけれど。
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