赤い糸
□朝の1コマ in FBI ~short~
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「… はぁ」
「あら、溜息は幸せが逃げるわよ〜」
「っ、失礼しました」
私のバックの中を確認しながら、明るいブロンドのロングヘアを後ろで一つに束ねた女性が笑った。
彼女は、私の身体検査を担当してくれているエマさん。
5歳ほど年上の彼女は、身体検査の他でも親身になってくれて、頼りになるお姉さんって感じ。
まだここで働きだして4日目だけど、私はすっかりエマさんに懐いていた。
「ふふ、まだ慣れないでしょ。疲れるのも当然よね」
「でも優しい方ばかりで、安心しています。色々良くしてもらってますし…」
「みんな、若くて可愛い子が入ってくれて嬉しいのよ。おまけに貴方がとても良い子で、みんな歓迎してるんだから」
「そのとーーーり!!」
突然、ドアが音を立てて開く。
驚いてそちらを見ると、赤毛の短髪とくりくりとした瞳が可愛らしい男の人が入ってきた。
「やぁ、舞。今日も元気?」
「は、はい…」
「こら、ニック!今は検査中!入るなって張り紙してたでしょ?!」
「もう終わったんだろ?ちゃんとドアの外で待ってたんだ」
「やだ、聞き耳立ててたの?変態!」
「エ、エマさん」
「お、ヤキモチってやつか?エマ」
「どうしたらそんな前向き思考になれるわけ?!」
「おはよう、エマ、ニック、舞。朝から賑やかだね」
後ろからもう一人の男性が現れる。
彼の名前は確か……
「マット!聞いてくれよ、エマがさ〜」
「ニック・ウィルソン捜査官!いい加減にしなさいよ!」
「2人とも、落ち着いてよ。舞、どういうこと?」
「えっと…はは……」
口争いを始める2人を見て、苦笑いを浮かべるマットさんと私。
でも段々面白くなってきて、ついには4人で笑っちゃった。
こんな風に、ここは気さくで良い人達ばかりで。
それなりに、毎日楽しんでいます。
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