時代

□月に舞う桜
1ページ/5ページ


島原の夜は華やか且つ艶やかだ。

絢爛豪華な衣装に身を包み
白粉に紅 煌びやかな櫛笄で
其の顔を彩った美しい遊女達。

初めて少女に出逢ったのは春だと云うのに
未だ冷たい風の吹く桜舞う夜の事だった。

少女は幼い頃に両親を亡くし
親戚へと預けられたのだが
八つの時に此の島原へ禿(かぶろ)として
売られて来たのだと云う。

ふわりと微笑む様が桜の花のようで
けれど 何処か憂いのある其の少女を
青年は護って遣りたいと心から思った。


次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ