夜鷹の恩返し

□居待月
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スサノオ様は月読様のお部屋でお休みになられ、自分たちの起きてくる前にご出立なさった。

目が覚めると枕元に自分には不相応な剣と何か書かれた紙が置かれていた。月読様宛てだろうと検討をつけて、月読様が起きてこられるのを見計らい、両方ともお渡しした。

「これは君宛てだよ。」
つき返された剣と手紙に戸惑っていると、月読様は気分を害されたように奥の部屋へと戻ってしまわれた。どうすることも出来ずに、再び元の仕事を続ける。

鈴の音が再び聞こえる。月読様がお待ちになる場所へ急いで駆けつけると、先程よりは幾分か気がよろしい様子で、近くに来るように合図される。

「夜鷹にこれをあげよう。」
優しい微笑みと共に手渡されたものは丸く光る石の付いた首飾りだった。

こんなに綺麗なものは戴けない。戴いてしまったら、この首飾りに申し訳ありません。そう念じて受け取りを拒むと、月読様は再び気分を害された様子で、自分の首根っこを捕まえて、首飾りをつけさせて念をかける。
「スサノオからの贈り物は受け取って、僕の贈り物は受け取らないとは、君はいつからスサノオの配下に下ったんだい?」

そんなことはありません。自分は、月読様以外の方にお仕え出来ません。

「そうだよね?君は僕が拾ったんだ。僕のものに決まっている。これは君の首がとれても外れない、君が僕のものであることの証明だよ。」

悲しそうな眼差しでこちらを見ながら、月読様は自分の手を力強く握られていた。

「君は僕を裏切らないでくれるかい?」

もちろんです。

間髪入れずに答えた返答にも、やはり浮かばれなかったようで、まだ少し寂しげな眼差しは自分を捉えて離さなかった。

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