素直じゃないよね?

□原因
1ページ/1ページ

はじまり、というか諸悪の根源のようなものは俺の場合は祖父の突然の告白からだった。
 中学3年の大晦日…いや?元旦…まあ、そんな世にもめでたい日に祖父はとんでもないことを俺に告げた。
「今年はめでたいのー。早苗は雅史君と結婚するし、清は鷲宮学園に入学するし…もう、思い残すことはないの?婆さん?」
祖母も嬉しそうにうなずく。母も顔を赤くしてまるで少女のようだ。
・・・・・・・・・
っっっじゃなーーーーいっっ!!!
「どういうことだよ!?」
炬燵をひっくり返すような勢いで俺は立ち上がった。ちゃぶ台返しをしなかった俺を誰か褒めてくれ。
「母さん結婚するの?!」
「えぇ・・・(照)」
「「えぇ・・・(照)」じゃないよ!!どういうことだよ!?何で、俺に一言も無いんだよ!ってか俺鷲宮に行くの?何で?いつ決まったの?どういう・・・」
バシッと打撃音が聞こえ、それと同時に頬への痛みを感じる。母さんに殴られた。
グーで、しかもしっかり婚約指輪をつけた手の方だから、余計に痛い。
「落ち着きなさい。清輝。」
頬を抑えながら、何で母に今殴られた考える・・・分からない。
「あんたは、鷲宮に行くの。そして、私は結婚する。」
「父さんは…?」
「何言ってるのよ、あの人はあの人で新しい女と暮らしてるわよ。まあ、もう未練もないから慰謝料だけふんだくって、後はポイッよ♪」
ぐれて良いだろうか?
「あんたに拒否権はないのよ?非行に走ったら5/7殺しよ?」
母さんの素敵な笑顔に、身も心も冷え込みます。俺は涙目になりながら、祖父母を見た。
二人は、行く年来る年の坊さんがなかなか鐘を叩けないのを応援していた。俺に味方はいなかった。そんな、息子を見下ろしていたお母様は、俺の顔を覗き込んで、手をとり言った。
「ごめんなさい…ちょっと急過ぎたわね?お母さんも早く幸せになりたくて、頑張っちゃった(テヘペロッ)」
我が母は冗談抜きに可愛い。見た目も中高年特有のたるみがないせいか、一回り年下に見られることも多い。あんな、平凡に足が生えたような父がどうやって母と結婚できたのか?鎌谷家七不思議の一つである。
「あんたが鷲宮に入るのは、雅史さんの提案なの♪雅史さん曰わく男の子は早く自律するに限るって!」
邪魔者を消す訳ですね、分かりますとも…
「学費は雅史さんが出してくれるから心配しないで!」
俺はもう何も言うことがなかった。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ