わたしとキセキとミラクルデイズ
□キセキとポッキーの日
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「毎年恒例ポッキーゲームやるぞ」
『恒例なのですか』
この部は、すべてが唐突すぎて突っ込みが追いつかない。
『で、なぜポッキーゲーム』
「決まってるだろう。今日はポッキーの日――イコール、ポッキーゲームだ」
『なにその頭弱い方程式』
腕を組みながらドヤ顔で言い放つ赤司くんに溜息をつく。つくづく思うが、本当に残念な人だ。赤司征十郎という男は。
「ほのっち、ノリ悪いっスよー!皆各自持ってきたんスよ!」
「まさか穂乃香さん、持ってきてないのですか」
「ほのちんありえねーし」
『え、なんなの持ってきてない私が悪いの?』
「人事を尽くしてないのだよ。そんな程度では得られるものなど何もないぞ」
『得るっていうか私のファーストを失うだけなんですが』
「俺が奪ってやろーか?」
『もはやポッキーの意味なし』
近付いてくる青峰の顔面にボールを命中させ、皆と一定の距離を置こうと足を動かす。
が、動くことはなかった。
瞬時に囲まれてしまったのだ。
『え、嘘でしょ。なんで今日に限って皆息ぴったりなの』
「何を言ってるんだ?いつも僕らは息ぴったりだ。ね?」
「「「「「ねー」」」」」
『嘘つくんじゃねえよ見事に棒読みじゃねーか』
「穂乃香、往生際が悪いぞ」
空気が張り詰める。いつもなら圧倒されて折れるが、そういう訳にはいかない。
ここで頑張らないとどうする。守れ、ファーストを!たとえ赤司くんに逆らってでも!
「僕の言うことは?」
『ぜ、ぜったーい!』
無理だった。