わたしとキセキとミラクルデイズ

□キセキとお泊り会B
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溜息をついていると、向こうの方から「ほのっちー!」と大声で名前を呼ばれた。
なんだろうと顔をそちらに向けると、黄瀬が手招きをしている。


『なにー?』
「見て見て!俺が表紙っスよ!」


じゃじゃーん、と前に出されたのは男性用のファッション誌。
「黄瀬涼太の魅力に迫る」という見出しの上には、モデルの決め顔の法則によるものなのか、斜め45度の角度から流し目でこちらに視線を送る黄瀬だった。


『うわあ………』
「なんスかそのリアクション」
『いや……うん…………ねえ』
「なんスかその物言いたげな顔」
『いや……うざいなって』


がーん、という効果音が後ろに見えるような表情をする黄瀬。
その後ろから、グラビア雑誌を片手に持つ青峰がひょっこりと顔を出した。


「穂乃香、なんだそれ」
『デルモモードの黄瀬』
「うわ、うぜえ」
「青峰っち、自分ができないからってそういう事言うのやめてくださいっス!」
「あ?こんぐらい楽勝だってーの。見てろよ…………おら」
『………色気ぱねえ』


はじめて青峰を尊敬した瞬間だった。



「そんなのだめだめっスよ!こうっスよ!こう!」
「あ?んなのテキトーにしとけばいいんだろうが。だからお前は黄瀬なんだよ」
「んなっ…!何事も中途半端にする青峰っちに言われたくないっス!」
「んだと、やんのか」
「望むところっス」
『わわわ…』


思いがけない衝突に戸惑う。
すると、向こうの方から「穂乃香さん」と買い物カゴを重たそうに持つ黒子くんが現れた。


「どうしたんですか」
『黒子くん、なんかどうでもいいことで2人が言い合い始めた』
「そうですか。ではお会計に行きましょう」


彼にとっては日常茶飯事らしい。





(結局絹あったの?)
(取り寄せてもらった)
(まじ迷惑な奴だ)



―――to be continued



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