わたしとキセキとミラクルデイズ

□キセキとお泊り会@
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「生き返りました………」
『早いね』
「さっきまでが嘘のようなのだよ」
「失礼ですね。これでも死にかけました」


緑間君の発言に対し、むすっと頬を膨らませる黒子くん。
しかし緑間君の言う通り、微笑を浮かべながらバニラシェイクをすすっている黒子くんはさっきまで死人だったようには見えない。
むしろ、生き生きとしている。


「あー!青峰っち!俺のポテト取っちゃだめっスよ!」
「うるせーよ」
「ずるいー。俺もー」
「あああああ!!!口ん中に流し込んだああああ!!」
「涼太、うるさいよ。それと、はしたないぞ敦」
「はーい」


部活帰りで疲れているのにも関わらず賑やかな彼らは、さすが男子中学生と言った所だろう。
あまりの騒がしさに、周りの視線が刺さる。
まあ、こんな馬鹿でかい中学生が騒いでたら嫌でも目に入ってくるか。


「ねえねえほのっち!」
『んー?』
「ほのっちの家ってどこにあるんスか?」
「黄瀬君、ストーキングはよくないです」
「ちょ、緑間っちみたいなむっつりじゃないんでそれはないっスよ!」
「なっ………むっつり!?」
「で、どこっスか?」
『学校から歩いて10分』
「え」


答えた瞬間に固まる黄瀬。
何があったのかと首を傾げると、緑間くんが溜息をついた。


「そんな短距離にもかかわらず、遅れてくるのは何故なのだよ」
『寝坊するから!』
「威張るな遅刻常習犯め」


ぐりぐりとこめかみを押される。
痛い。ちょ、マジ痛い。
涙目で抵抗していると、赤司くんが何か思い付いたように微笑むのが視界の端に入った。


「今夜は穂乃香の家に泊まるか」
『は』
「それいいねー」
『ちょっと、紫原くんまで』
「明日土曜だけど朝練あるしな」
『ちょっと、青峰もどうしたの』
「行きたい行きたい行きたいっス!!!」
『黄瀬うるさい!』
「ふん、せっかくの機会なのだよ。お前の家から学校まで最低何分かかるか計ってやる。これで遅刻しない時間帯が分かるのだよ」
『こんな時にデレ全開しないで』


やばい。超やばい。
今日は親が出かけているため、一人で留守番をしなければならないのだ。
確かに、心細なくないと言っちゃ嘘だけども、だからと言って一つ屋根の下、同級生6人と一夜を共にするなんて―――
だめだ。それはだめだ。絶対だめな展開が繰り広げられる。
こうなったら………黒子くん、断ってくれ!!


「女の子の家に行くのは気が引けますが………行きたいです」
『ノリノリじゃねえか』



最後の頼みの綱は、音もなくあっさりと切れた。





こうして私の意見なんて聞いてもらえるはずもなく、帝光中学バスケ部一軍御一行様が家に来ることになりましたとさ。






(波乱の、予感)






―――to be continued




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