Parallel Lines

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なんで机の上に半分埋まった紙があるんだ?

なんで、あいつの左手にあるべき物が、ここにあるんだ――――?



分からないというにはあまりにも十分すぎるヒントがありすぎて。


けど、理解できるほど冷静ではいられなくて。
息が止まる。いや、息をするという生理現象を忘れるほど、動揺していた。


震える手で携帯電話を取り出し、搭載されている機能を立ち上げる。が、あいつの居場所は表示されなかった。
実家にもかけてみる。もちろん、理由などは適当にでっちあげた物なのだが。だが、答えは俺の望んでいるものではなかった。
「そうですか、ありがとうございます」と猫を被った声色で切り上げ、携帯を耳から離す。


どういうことだ


どういう、ことがあって



なんで、こんなことに、






考えていても仕方ねえ


とにかく行動だ



迎えに行かねえと


変な虫がつく前に



早く、はやく




何処に、行けば




なあ、何処にいるんだよ



なんて考えても愛の考えている事が分かる訳がなくて。今までずっと一緒にいたにもかかわらず、分からないなんて。
無性に腹が立った。

目の前の物体を引っ掴み、左右上下斜めと様々な方向に裂いていく。


カチリ、とライターで点火すると、燃え上がるソレ。
炎の中で愛の字が歪んでいく。




「俺から逃げようなんざ、できる訳ねえだろ………バァカ」



必ず、どんな手を使ってでも




お前を見つけ出す
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