Parallel Lines
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「…………は……、なんだ、これ………」
久々に帰ってきた場所は、我が家と言うにはあまりにも静かで、殺風景すぎるものだった。
意味が、分からない。いや、分かる。分かるものの、理解ができない。
なんで、なんで、なんで、愛がいないんだ?なんであいつの荷物だけがないんだ?
どこにもいない。どこにもない。
リビング、寝室、洗面所、どこもかしこも。
いない
ない
ナイ
イナイ
まるで、最初からあいつがいなかったかのような錯覚に襲われる。
しかし、その錯覚から抜け出せる物が目に飛び込んできた。
あまりにも残酷で、直接的な、最悪の形で―――