Parallel Lines
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小鳥のさえずりが、遠くに聞こえる。
重い瞼を上げると、薄暗かったはずの部屋が白い光に包まれていた。
「………10時」
霞む視界で時間を確認し、朝が来たことをようやく認識した。途端に寒気が襲ってくる。
なんとか紛わそうと腕を擦る。すると、視界の端で何かがチカチカと点滅しているのが入った。
そちらに顔を向け、目を凝らす。携帯電話だ。
ほとんど感覚がない手でそれを取り、ディスプレイを表示させる。
「……メール…」
誰からだろう。受信ボックスをクリックし、宛先を見る。
そこには、ずっと連絡が欲しかった相手の名前と共に短文が表示された。
『出張。そのまま行く』
簡潔且つ短文。
一行で足りるメールのやり取りは、別段珍しくもない。
「いつ帰ってくるのかな…」
携帯電話を閉じ、ぽつりと呟く。
依然、返事なんて返ってこない。
未だに体温を奪い続ける冷気に身を震わせながら、カーディガンを着ようと手を伸ばす。
しかし、その手はそのまま下ろされた。
切ない
いや、そんな言葉は青春時代だけに通用するものだろう。
現に私はそのような思いをして、今の生活を過ごしているのだから。
でも、今はそんな言葉なんかで片付けられない。
こんな生活、繰り返し続けて
ずっと、ずっと一人で
虚しい
今まで考えないように、現実から目を背けてきた。
けど、もう背けられない。
それほどまで、現実がすぐ目の前までに迫っている。