短編
□自殺願望者
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指先でスカートを摘まむ。
よし、取れた。
と思った瞬間、強い風が吹く。
ひらり、と手から離れるスカートと共に、私の身体は大きく傾いた。
バランス崩してしまったのだ。
落ちる(そうだね)
途端に脳内で誰かの声が響いた。
これは、自分の声だ。
なんとも単純な私の問いかけに、酷く優しい声色で返してくる。
落ちたら死ねる?(うん、死ねるよ)
楽になれるかな?(もちろん)
でも嫌だ(なんで?)
(貴方がずっと望んでたのに?)
そうだよ、でも、
(死んじゃおうよ)
死にたくな―――――