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□総北高校自転車競技部
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田所side



総北高校自転車競技部はおかしい。



ガチャ

「ウーッス…、おっ…と、!?」

部室入ったら金城と巻島が抱き合いながらキスしてた。

「あっ、…たったた田所っち…、こ、これは、あのっ…なんつーか…」
「いや、おう、大丈夫!大丈夫だからな!」

なにが大丈夫かも分からないまま部室を飛び出した。
え、なに。あいつらってそういう仲だったの?ありゃあここ2日3日の付き合いじゃねーだろ。いつから。いつからだ。
俺の知らないところで…。

裏門坂を登ってすぐの自転車置き場に来た。
ああ…今日部活行きたくねぇなぁ…。


「アカンてスカシ!あほちゃうん?!」
「黙れ、耳に響くだろう」
「アカンアカンアカン!!!」

すぐ近くで今泉と赤マメツブの声がする。
まーたじゃれてやがる。
校舎の陰で赤い髪がわさわさしているのが見えた。
脅かしてやろう、

そう思ったけどすぐやめた。


「…っく、スカ…しっ、も、やめぇ…」

俺は静かにその場を去った。



どーなってんだ総北は。
もしかしておかしいのは俺か?俺なのか?


「おっ、あの後ろ姿は…」

小野田と杉本だった。
まさかやつらに限ってそんなことはないだろう。
おれは一気に安堵した。
ああ、やっぱり俺はおかしくない。


「小野田!今日部活帰りにショップにいかないかい?ボトルを新調したくてね〜」
「杉本君の自転車を買ったとこ?行ってみたいな!」
「じゃあ、今日も部活頑張ろうね!」
「うん!」


ああ、こういうのだ。俺が求めてたのは。
やっぱおかしいのは俺じゃないよな。うん。


あれ。



よく見ると小野田と杉本は手を繋いでいた。
しかも、俗に言う、恋人繋ぎってやつだ。

「…………」


男子高校生がバカやって手繋ぐなんてよくあることだろ。……うん。

でも一向に離そうとしない。
しかも、恋人繋ぎ、だ。



俺はその日部活を休んだ。

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