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□おおばか!
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南雲先天的女体化
あ、
ぱんつがない。
ぶらもない。
やば、
今日の1時限目は体育。7月の体育といえばあれだ、プール。
週明け初プールで、テンション上がって、制服の下に水着を着用して登校した。
はい、察しの良い皆さんはもうお分かりになっただろう。
ぱんつとぶらを、忘れたのだ。家に。
(どうしよういやマジでマジで)
只今すっぽんぽんである。ビート板直せと先生に頼まれて手伝ってたら最後の1人になってしまった、故に、頼れる相手もいない。
あ、誰かに電話すればいーや。プールバッグをごそごそ探ってみるけどない。制服をぱんぱんしてみるけどない。教室のスクールバッグの中だ…。
早くしないと次の授業のクラスが来ちゃう、先輩とかだったら気まずくて死ねる…!
上はサマーベストがあるし、スカートもバックで押さえればマシになるだろうと急いで制服を着替えた。せめてジャージがあればなぁ…。プールが始まってからというものの、ロッカーからジャージ類は消え去ってしまっている。
急いで制服を着ると、ドアが開く音がした。
ぎく、振りかえり、名札を見ると『3年』の文字。やっぱり先輩方だった。
我が校は先輩と後輩の上下関係がすんばらしく悪い。俺は靴下も履かずに上履きの踵を踏みつけて更衣室を出た。
「う、おっ…」
出てみたはいいけど、今日、風強いな。
こんな日に限って!
スカートめくれる、めくれるって!めくれたら死ぬ、社会的にも肉体的にも!!
それにブラなしでシャツ着たのも初めてだからすげー違和感。サマーベスト着てても微妙に乳首浮き出てて透け太郎だしああああ!!
その時。誰かが俺の胸をわしづかんだ。
「なーぐーもっ」
「うひゃああああ!!」
「…あれ?なんか今日のブラやわらか…ん?!」
あろうことかソイツはクラスメートのヒロトだった。普段から胸とかつかんでくるような変態野郎で、 ああもうこんな日に限って!死ね!
「死ね!ばかあほおたんこなす!!」
「いや…え、何?そういうプレイなの?風介もやるね。も、もしかして…下も、はいて、ない?」
そんなこと言ってヒロトは私のスカートをめくろうとした。
なにしてんだ馬鹿!だからはいてないんだって!と大声で言えるはずもなく、必死でスカートを押さえた。
それに涼野とはいたって普通の仲だし営みだって普通っていわせんな馬鹿!
「…何やってんだい廊下の真ん中で」
気づけば涼野は俺たちの後ろに呆れ顔で立っていた。手には教科書を持っていて、移動教室だと分かった。
「涼野!こいつ!こいつどーにかして!スカートめくるの!!」
「…いつものことじゃないか。それに南雲は下に捲ったジャージかスパッツでも履いているんだろう?」
「だからはいてないんだって!!」
もうどうにでもなれと思ってそう叫ぶと、涼野はどんな行動をとったと思う?意味が分からないよ。
あろうことか涼野は、俺がヒロトからめくられそうで必死こいて押さえてた前部分のスカートの反対側。つまり、お尻の方のスカートをガッチリと掴んだ。ああ、押さえてくれるのか、と思ったのも束の間、そのスカートは上へと持ち上げられた。尻に感じる冷ややかな空気。後ろに男子生徒も何人かいたのに。
そっからはもう阿鼻叫喚。
怒り狂った俺はそれはもうすごかったらしい。俺は記憶にないんだが…