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□えいぷりるふうる。
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「ねぇ晴矢…私たち、もう別れないか?」
「はっ???」

なにやら俺は今、恋人に別れを告げられた。突然。ほんとに突然だ。
何かをやらかした記憶もなければ、こんな突然に別れを言われるようなことは断じてしてない。

「……な、なにいって…」
「すまない、君は何も悪くない。…だが、別れてほしいんだ」

ぐっ、と握られた風介の拳は震えていた。……本気、なのか?いやいや、ここ数日の付き合いじゃねぇんだぞ、そんなスッパリ別れられるか!

「あのなぁ…! 、っ?」

風介の後ろにふと目がいく。ちょうどここからまっすぐ直線上に日めくりカレンダーがある。薄い紙にでっかく印刷された1の文字。あ、今日から4月か。……ん?4月?今日は、4月1日…



エ イ プ リ ル フ ー ル じ ゃ ね ぇ か 。



ははーん。読めたぞ。俺に別れを言って、俺が嫌だ別れないとすがりついた所でネタばらしってこんたんだな。
冗談じゃねえ。俺はそんな浅はかじゃねぇんだよ。

「……別れたい、のか?」
「ああ」
「理由は?何か突然嫌になった理由があんだろ?」
「それは……」

おっ、ちょっと困ってる困ってる。こりゃあおもしれぇや。ドッキリ仕掛けた相手を逆ドッキリってか!
風介はなんとも言い難い、複雑な表情をしていた。言わざるべきか、言うべきか、そんな表情。

「……君が、嫌いになった」
「…ほぉ?」

いくら嘘でもついて良い嘘と悪い嘘があるっつーのをこいつは知らねぇのか!怒ったぞ…。そっちがその気なら、こっちにも考えがある!
泣いて謝ってももう遅いんだからな!

「奇遇だな。俺もたった今お前が嫌いになった。もう顔も見たくねぇな。さっさと出てけよ」
「……一刻も早く出てってやりたいところだが、この家の名義は私だ。出ていくのは君なんじゃないのか?」
「っぐ……、」

ごもっともだ!

「…と、止めてもムダだかんな!」
「止めないよ今さら!」

俺はちょっと涙目になりながら出ていく身支度をする。なるべく、ゆっくり。大きめのかばんに着るものとか必要最低限なものをつめるけど…。
アイツ、本当に止めに来ねぇ。どころか呑気にコーヒーすすってやがる。

「お、おい!本当に出ていくぞ!」
「勝手にしなよ」
「一度は永遠を誓いあった恋人だぞ?!そんなあっさりしてて良いのかよ!!」
「顔も見たくないと言ったのは君だろう!!」

言ったけど!言ったけども!!

「ああそうだ!お前なんかよりヒロトとかの方がずっとイケメンだし!頭良いし!」
「じゃあヒロトと付き合えばいいだろう?!」
「そうさせてもらうよ!!」

俺は携帯を取り出して、ヒロトの番号にかけた。風介はさすがに驚いた表情はをしたが、止めはしなかった。俺も自分を自分で止められなかった。
ただ、風介に負けたくねぇ!!
(そもそも勝負なんかしてないのに…)

『もしもし?』
「ひ、ヒロト!お、俺と付き合ってくれ!!ていうか、付き合え!!」
『は?!いきなり何いってるの?!』

恋人に別れを告げられて、
エイプリルフールだとしても別れ話ってのは結構つらくて、
嘘でも別れ話する風介に腹がたって、
ケンカして、
だからと言って俺は男友達に突然告白するなんて…!

俺何やってるんだろう!!!
俺何やってるんだろう!!!
俺何やってるんだろう!!!


自分でも自分が何をしでかしてるかよく分かってなく、もうパニック状態だった。
ヒロトは風介に代われと言ってきたので携帯を風介に投げた。
俺は泣いた。嘘でもヒロトに告白しちゃったよ…。本気に思われたらどうしよう…。



『ちょっと!昨日風介に「晴矢に思われてるか不安なら別れ話でもして晴矢の気持ち確かめてみたら?」って言ったばかりじゃん!気持ち確かめさせた結果がこれなの?』
「違うんだよ…。何でこうなったのか私にも分からん…。」





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当日から1週間経ちましたがエイプリルフールねた。
結果ケンカするほど仲がいい!\(^o^)/

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