Book

□一生分の恋を君と。
1ページ/1ページ

病院ってのはなんてつまんねぇ所なんだ。毎日規則正しい起床就寝。朝昼晩味気ない食事。同室で話し相手を見つけようにも、見渡すとおじーちゃんおばーちゃんばかり。只今24歳の俺にお年寄りと話すスキルは生憎と身につけていなかった。
まぁそんな日頃の鬱憤をはらしてくれるのが美人の看護師さんだろ_____。と思いきや、俺の担当の看護師は全くといっていいほど愛想のない奴だった。
お前、首になんねぇのかってほど。
ただ美人だからか、クールってかミステリアスな雰囲気もそこそこいい。

二日前に働きすぎか何かでぶっ倒れて緊急入院。それからずるずると検査入院。もう身体もダルくないし、いーかげん帰ってもいいんじゃね?

ガラリ、と戸が開く。涼野さんだ、俺の担当看護師。
チラリと時計に目をやる。ああ、午後の検温の時間か。

「はい」

義務的に物事をこなす冷たい機械のように、たった一言言い放った。目の前につき出された体温計。もっと言い方ってもんがあるだろ。あれだ、入院先の看護師とデキたなんてのは都市でんせつだな、きっと。
気分を害された俺はひったくるようにして体温計を奪うと脇の下に滑り込ませた。程なくしてピピピッと鳴った。ディスプレイには36.2℃の表示。平熱中の平熱じゃねえか。

涼野さんに「ん」とだけ言って渡す。涼野さんは無言でカルテに体温を書き込み、エタノールたっぷりのコットンで体温計を磨きながら帰っていった。
腹立つ。
美人だからって調子ノンな。アホか。病人は尽くされてナンボだぞ。

ぐちゃぐちゃ考えていると、眠たくなってきた。昼食はとったばかりでお腹はいっぱいだし、窓際のベッドなので日差しがあったかし、眠気に逆らうことなく目を閉じた。








「______さん、な_______」

「なぐ______、」


「南雲さん!」


耳元で大声で叫ばれたせいかキーンと耳鳴りがする。なに?どうしたんだ?!
びっくりして、一気に覚醒した。目が覚めたあとの気だるさとかはなく、本当にパッと目覚めた。
俺のベッドの脇に、涼野さんがいた。その後ろには遠目になんだなんだと同室のお年寄りが集まってきてる。

「どうしたんですか?!」

どうしたもなにも、お前がどうしたの?俺なんかした?
俺、寝てただけだけすけど…。控えめに告げると、涼野さんの顔がみるみる赤くなった。あれ?

涼野さんはすごい勢いで病室から出ていった。看護師が走っていいのか。
涼野さんが出ていった病室は俺とお年寄りだけになり、気まずい空気が流れる。

「なんかあったのかい?」
「…え、いや、なんもないすよ。すいませんね」

気をつかいながら聞いてくるお年寄りに何故か謝る俺。なんで謝ったんだ。そしてなんだあの看護師。


後日話を聞くと、どうやらあのあと部屋にカルテを忘れて取りに来た涼野さんは、ついさっきまで起きていた俺が目を閉じて呼吸をしていなかったもんだから(呼吸はちゃんとしていた、テンパってた涼野さんの狂言だ)慌てて身体を揺さぶっていたそうだ。
ふつー寝てるのかな?とか思うだろ、と苦笑したら、涼野さんは顔を真っ赤にして

「会社でぶっ倒れて運ばれてきたんだから、また意識がなくなったのかと思ったんですよ!」

と強い口調で言われてしまった。


なんだ、別に、感情がないってわけじゃないんだ。むしろ、人一倍心配性で。
しかもそんな自分の所をコンプレックスに感じているようだ。
すぐ顔が真っ赤になって、すげえ可愛い。







「…はい、南雲さん、体温計。」

次の日の検温の時間には一言二言だが、俺に話しかける涼野さんがいた。


______
続き一応考えてるけど、書こうかなぁ…悩む

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ