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□夏の思い出
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ザザザザン、ザザザザン…。寄せては返す波。青い空、白い雲。夏の醍醐味は花火、美味しい麦茶、そしてやっぱり海だよね。
「「「海だーーー!!!」」」
雷門中サッカー部は夏休みを利用し、部活の休みを狙って海にプチ旅行に来ていた。テンションの高い一年生(冷ややかなのもちらほら)。平静を装っているが、内心wktkな二年生。受験を控えているけど、今日ばかりは弾けようと心に誓った三年生。
雷門中サッカー部全15名はひと夏の思い出をつくるためにちょっと遠くの海に。
「うわ、テンション上がるなぁ!海なんていつぶりだろう?!」
「へー、天馬くん海行ったことあるんだ。俺はじめてかも」
「うん!俺、沖縄で育ったからね。狩屋はじめてなんだー?!」
言われてみれば。海のない東京都だから、海に行ったことのない人はいるかもしれない。信介はどうだろう?
「うわー!天馬これみて!昆布昆布!」
「こん…?それ、ワカメじゃない?」
信介は海に来たことないんだろう。昆布とワカメを間違えるくらいだし、あのはしゃぎようは尋常じゃない。てゆか海パンサイズいくつだろう…。あれ、幼児用じゃないのかな。
「天馬、泳ぎはうまいのか?俺と勝負しないか?」
「霧野先輩!いいですよ。商品はかき氷で!」
「望むところだ」
皆それぞれ泳ぐ組、見て楽しむ組、砂浜で遊ぶ組、食べ物を楽しむ組に分かれていた。
「影山!あっちにトウモロコシがあるド」「うわぁ本当だ!あ、あっちには焼きそばも!」
影山と天城は、食べ物を楽しむ組。出店を端から端まで見て楽しんでいた。
「神童くんは泳がないんですか?」
「俺は見て楽しむ派だからな。速水は?」「お、おれ泳げなくて…ばた足は得意なんですけど」
ばた足は得意なのに泳げないとか何それ可愛いである。
「なぁーんだ速水、泳げねぇの?ばた足さえできれば簡単だっちゅーの!」
「そうですかねぇ…」
「そうそう!ちゅーか俺が教えるし!泳ご泳ごっ」
浜野に手を引かれ、わたわたしながらついていく速水。速水はどちらかというと女顔だし、恋人同士に見えなくもない…。
「円堂監督、今日鬼道コーチは来ないんですか?」
「おぉ三国、鬼道か…、う〜ん?音無は知ってるか?」
「兄さんは合コンよ」
「「え」」
鬼道コーチ、まさかの合コン。やっとシスコン離れしたのかと思いきや、そういう訳でもないらしい。
「……ブッ、なんでお前海に来て砂のお城なんか作ってんの。幼児か」
「みっ南沢さん!いーじゃないですか!何しようが勝手じゃないスか」
「俺も加勢してやるよ」
「いいです!遠慮します!」
素直になれない倉間くん。実は雷門一のカナヅチなんだとか。そしていつもカッコイイ南沢さん。今日、逆ナンされた回数はすでに10回越え。
「うおーっ、海ぜよー!!」
「……耳元で叫ばないで下さい」
「なんだ剣城、お前泳げないのかっ?わぁーっは、っは、っは!」
「泳げます!錦先輩こそ泳げるんですかっ?!」
「わしゃ泳げんぞ。わぁーっははは!」
せっかく海に来たのにイライラしっぱなしの剣城くん。初めての海にテンションMAXの錦くん。
さて、これまででてきていない人物は誰でしょう?チッチッチ…
正解は、車田くんでした。
「えっ…俺の出番、これだけ?」
「やったぁ!俺の勝ち!」
「くっそ〜…僅差で負けたな…」
天馬くんと霧野くんの競泳勝負の結果、勝者は天馬くん。沖縄で育った称号は伊達ではないようです。ちなみに霧野くんのあの自信は、幼少期に水泳を習っていたことから来るようです。
楽しかった旅行も、もう帰る時間。
「みんなー今日は楽しかったか?」
「「「はい!」」」
「そりゃ良かった!じゃ俺がみんなにかき氷おごってやるか!」
「やったぁ!!」
「狩屋〜、狩屋は何味にする?」
「天馬くん。俺は…、イチゴ味かな」
「ぶっ」
「ななな何で剣城くんが笑うの?!」
帰りの電車の中では、みんなが寝てました。いい夏の思い出になったようです。