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□いつかの結末
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…夢でも見てるんじゃなかろうか。いや、夢であってほしい。むしろこれは夢だ。そう思えるほど不可解で気味悪い出来事が目の前で起こっている。
……俺がいるんだ、目の前に。いや、俺なんだけど俺じゃないんだ。顔はそっくりだけど、背も俺の方が高いし。

そう、つまり…。10年前だったか、地球侵略やらで騒がれた宇宙人がいるんだ。ここに。
ぶっちゃけ思い出したくなかった。なにが宇宙人だ。厨二か。俺はアイツとはちげーぞ。いくら俺達を助けてくれた恩人のためとはいえ、一生の汚点だ。まさに黒歴史。

「……、…?」

バーン(と、呼んでみる)も困惑しているようだ。そりゃそうだ。俺はバーンを知ってるけど、バーンは大人になった俺を知らない。

「……誰だテメェ」
「簡単だよ、俺はお前だ」

バーンはさらに分からない、という顔をした。しっかし、目つき悪いし仮にも自分になんつー口の聞き方。
……あれ、こんなこと前にもどっかで……。
そっか。分かった。俺がバーンだった時も10年後の“俺”に会っていたんだった。夢かと思っていたけど、現実だったんだ。

「……なんなんだよ、」
「そりゃ、俺にもさっぱり…」

10年経って文明は進化を遂げた訳だけど、タイムマシンができたという噂は耳に入っていない。俺は何故こんなとこにいるのかもよく分かっちゃいない。てかここ何処だ。
てか10年前の俺ちっちぇー。こんな背伸びたのか。……とかなんとか思っていると、バーンが急に可愛く思えてきた。
こいつは、俺だけど俺じゃない。こん時のバーンは大人が極端に嫌いだったからな、俺の事敵視しているんだろう。そして、怯えているんだ。

昔の自分まじ可愛いー、とか言うナルシストのつもりでは断じてない。が、可愛い。俺はバーンに目線を合わせるようにしゃがんだ。

「……?」
「お前、可愛いなっ」
「……?!」

髪とおんなじくらい真っ赤なバーン。ほらやっぱり可愛いよ。





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ドッペルCP好きだけど難しい…

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