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□チューリップ<みどり>E-side
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暖かさを感じることのできない鎧は、兄の熱をはかることができない。しかし。
「そんなフラフラで?どこが大丈夫なわけ?」
「ふぇ…?」
熱がわからなくても具合が悪いのは一目でわかる。たった一人の家族だから。
「ほら、コート脱いで。布団の中入ってて」
アルフォンスはエドワードをひょいと持ち上げ、ベッドの上に置いた。
寝てて、と言っても素直に言うことのきかない兄だから、眠るまでそばにいることにした。
「あ、大佐!早かったですね」
「あ、あぁ。たまたま汽車の時間があってな」
「そうだったんですか。あ、今ちょうど兄さん寝たとこなんですよ」
2人はホテルの下にいた。
きっと大佐は兄さんのことが好きなんだ。
多分、兄さんも大佐のこと、まんざらでもないはず。
「大佐、中入りましょ。兄さんまだまだ熱高いですから」
大佐、待って。オレ大佐のこと好きなんだ。わがままかもしんないけど、置いてかないで。オレ、大佐の邪魔しないから。お願い、オレの側にいて―!
「鋼の?」
目を開けるとすぐ近くに大佐がいた。
幻覚かと思った。その漆黒の美しい瞳、それよりも黒いきれいな髪。