FA

□チューリップ<みどり>E-side
1ページ/4ページ


「ちゃんと寝てるんだよ、兄さん!」

アルフォンスがベッドに向かって言う。布団がもごもごと動いた。

「…アルぅ…いいよ別に…すぐ治るから…」

「うるさい!いいから寝てなさい!」

アルフォンスは部屋の扉をバタンと閉めて階段を降りていった。

ラッシュバレーに来たのは賢者の石の情報を探すため。しかし、情報を持っているという人はもう既にこの世を去っていた。山奥まで行ったが、結局手ぶらで帰ってくることになってしまった。
そこで夜遅いからといって野宿したのが悪かった。
ラッシュバレーは南部にあるので昼間は暑い。しかし夜は昼との寒暖の差が激しい。
エドワードは、風邪をひいてしまった。

「あ、もしもし?アルフォンスです」

『あぁ、どうした?』

「兄さんが風邪ひいちゃって…」

『なに!?…そ、それで、何故私に電話を?』

「うーん…僕もよく分からないんですけど、兄さんが熱で唸ってるときに大佐ーって言ってたから」

『…鋼のは私になにか恨みでもあるのか…?』

「分かんないですよ。とりあえず今兄さん動かせないんで、司令部に帰るのは遅くなります」

『そうか。…アルフォンス』

「なんですか?」

『今、ラッシュバレーのどこのホテルにいる?』





くっそー…情報持ってる奴死んでたって、どんだけ前の話なんだよ。
でも…大佐が掴んでくれた情報だ。手ぶらで帰りたくねぇなぁ。

「兄さん。ちゃんと寝てた?」

「アッアル!?お前どっか行ってたんじゃねぇの!?」

エドワードはいつもの黒い服を着て、赤いコートを羽織っていた。

「…兄さん。熱は?」

アルフォンスの声のトーンが下がる。やばい、怒ってる。

「や、今いきなり下がったんだ。もう大丈夫だ」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ