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□チューリップ<みどり>E-side
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「ちゃんと寝てるんだよ、兄さん!」
アルフォンスがベッドに向かって言う。布団がもごもごと動いた。
「…アルぅ…いいよ別に…すぐ治るから…」
「うるさい!いいから寝てなさい!」
アルフォンスは部屋の扉をバタンと閉めて階段を降りていった。
ラッシュバレーに来たのは賢者の石の情報を探すため。しかし、情報を持っているという人はもう既にこの世を去っていた。山奥まで行ったが、結局手ぶらで帰ってくることになってしまった。
そこで夜遅いからといって野宿したのが悪かった。
ラッシュバレーは南部にあるので昼間は暑い。しかし夜は昼との寒暖の差が激しい。
エドワードは、風邪をひいてしまった。
「あ、もしもし?アルフォンスです」
『あぁ、どうした?』
「兄さんが風邪ひいちゃって…」
『なに!?…そ、それで、何故私に電話を?』
「うーん…僕もよく分からないんですけど、兄さんが熱で唸ってるときに大佐ーって言ってたから」
『…鋼のは私になにか恨みでもあるのか…?』
「分かんないですよ。とりあえず今兄さん動かせないんで、司令部に帰るのは遅くなります」
『そうか。…アルフォンス』
「なんですか?」
『今、ラッシュバレーのどこのホテルにいる?』
くっそー…情報持ってる奴死んでたって、どんだけ前の話なんだよ。
でも…大佐が掴んでくれた情報だ。手ぶらで帰りたくねぇなぁ。
「兄さん。ちゃんと寝てた?」
「アッアル!?お前どっか行ってたんじゃねぇの!?」
エドワードはいつもの黒い服を着て、赤いコートを羽織っていた。
「…兄さん。熱は?」
アルフォンスの声のトーンが下がる。やばい、怒ってる。
「や、今いきなり下がったんだ。もう大丈夫だ」